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eResearch Australasia 2020 参加報告

今回は2020年10月19日から23日に開催していた eRsearch Australasia 2020 に発表者として参加した際の報告をいたします。eResearch Australasiaについては昨年の参加報告記事でもご紹介しましたが、豪州を主体とした情報技術を活用した研究のプラクティスを共有し議論するためのカンファレンスです。

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オンラインカンファレンスの様子

今年のeResearch Australasiaでは、豪州の国家的な研究データ基盤として、Australian Research Environment (ARE) がアナウンスされました。AREでは持続的で簡単に利用できるHPC、センシティブデータの保存スペース、研究データのワークフローエンジン等のサービスを提供する研究データ基盤です。基盤の構築にあたっては豪州の認証基盤であるAAFや、研究ネットワークインフラであるaarnetをベースとしており、まさに私たちが構築に取り組んでいる NII Research Data Cloud と同じ位置づけにある取り組みです。豪州では、Australian Research Data Commons (ARDC) を中心とした国家的な研究データ戦略を立ち上げており、豪州内の大学や研究機関に対して投資が行われています。欧州の研究データ基盤の取り組みである、European Research Data Cloud (EOSC) と共に注視していきたいと思います。

その他にも、今年のeResarch Australasiaでも様々な分野の研究データ基盤の開発・運用事例の発表がありました。例えば、脳神経画像の解析プラットフォームであるNeuroDeskや、社会調査などで収集したセンシティブな研究データを保存・管理するオープンソースソフトウェアであるREDCapの導入機関や運用コミュニティの事例の報告などがありました。

私たちもRCOSでの機能開発の取り組みとして、「DMP駆動型の研究データ基盤開発」と題して発表を行いました。私たちの開発するDMPシステムでは、豪州発のオープンソースソフトウェアである "ReDBox2.0" をベースに開発を進めています。昨年のeResearch2019に参加した際は、ReDBox開発ミーティングに参加していました。今回の発表では開発コミュニティのメンバーからも好評をいただいており、様々なディスカッションをオンラインで行うことができました。

今回のeResearch Australasiaのもう一つの特徴として、カンファレンスシステムの導入があります。eResearch Australasia 2020では、カンファレンス参加者用にオンラインポータルを立ち上げ、発表者の事前収録動画のアップロード機能をはじめとして、参加者が交流しディスカッションできるようなチャット機能やSNS機能が備わっていました。さらには、発表を視聴したり、他の参加者とコミュニケーションを取るとポイントが付与され、カンファレンス内で「最もアクティブな参加者」のランキングが表示される仕掛けも提供されていました。COVID-19に負けないアクティブなイベントを開催しようとする取り組みとして、とても参考になりました。

カンファレンスの発表動画・資料については、後日公式サイトで公開される予定です。ご関心のある方はぜひご覧ください。

eResearch Australasia 2020 Online Program
https://conference.eresearch.edu.au/online-program/

(常川 真央)