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臨床実験を偽った学生の個人情報流出による詐欺、1200万ドルの被害@カリフォルニア大学
カリフォルニア大学は昨日(4/20)、臨床実験を偽り学生の健康保険情報をだましとり、1200万ドル近くの医薬品の処方箋の偽造がなされるという詐欺が発覚した、と発表しました。
同大学は4/22にも、ロスアンジェルス郡上級裁判所に、この詐欺行為の即座停止の申し立てを行う予定です。同時に、対象となった500名余りの学生の個人情報が流出したため、これら学生の身元保護サービス(identity protection services)を手配の予定です。
告訴状によると、
- ・ 複数名の被告が、California Clinical Trials, LLC(or, CCT)を設立した。
- ・ 被告はそれと同時に、学生健康保険(UC's Student Health Insurance Plan, UCSHIP)に加入する学生を対象としてFacebookを通じ、安易にお金を稼げる臨床実験への参加を呼びかけた。
- ・ 被告はキャンパスにおける就職フェア(今週も行われた)において、製薬企業のマーケティング職を得られる可能性をちらつかせて、学生から健康保険情報および医療情報の提供および、医薬品の試用を求めた。
- ・ 被害にあったのは、UCLA、UCリバーサイド、UCSDや離れては、UCサンタクルーズ、UCデイビスの学生であったが、処方箋の大部分は(ロスアンジェルス近郊の)Studio CityとChinoから処方されていた。
大学当局によると、学生は臨床実験に参加する謝礼として550ドルに上るキャッシュをFacebookでは提示されていたようです。処方箋は、医師の診療や薬剤師との相談もないまま、発行されていました。対象となった医薬品は、特許切れの安価な、関節炎などのための鎮痛剤で、患者や保険会社、政府系ヘルスケアプログラムに対して代金が請求されるものです。
大学は現在、被害にあった学生全員に連絡を取っているところです。また、個人情報を引き替えとした安易な金儲けやフリーサンプルの提供、登録するだけで大金が得られる「臨床実験」には注意をするように、学生に注意を促しています。
本事件の詳細は、裁判を通じてこれから事実が確定していく予定です。
[University of California] (2017.4.20)
UC moves to shut down alleged fraud targeting students
日本には国民健康保険に全員加入義務があるのに対して、米国にはこうした国民皆保険という制度が存在せず、健康保険は各自が、公的な健康保険または民間の保険プランに自分で加入します。
このため米国の多くの大学は、大学独自の健康保険プランを提供し、学生は、他の保険に入っているなどことなどを証明できないかぎり、これへの加入を求められているようです。
日本の大学はこうした健康保険を提供していないため、このような詐欺行為が行われても学生に注意を呼びかける程度の対応で終わりますが、米国の大学はそういう訳にはいかず、この損失の補填や告訴手続き等、もろもろの責任と対応が発生します。
それにしても1200万ドル(12億円相当!)というのはすごい額ですねえ。大学当局によると、この詐欺は急速に広がり、1日で600以上の処方箋が一人の足治療医により発行され、その一日の被害額は170万ドル以上とのことです。
船守美穂