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4年間とDNA

2024.04.10

2020年4月以来、4年間在籍したNIIを退所することになりました。

いわゆるコロナ禍の時間をほぼここで過ごしたことになります。

その間、変わったものも変わらないものもありました。この日誌の2020年頃と今の状況を比べると分かると思います。


ところで2019年の3月にMicrosoftが出した論文*によれば、物質としてのDNAはわずか1gで215ペタバイトの情報を記述できる他、数万年の長期保存に耐えることができることが示されています。 論文では "HELLO" の文字列を塩基配列に置き換え、実際のデータストレージとして書き込みと読み出しができたことが報告されています。

* Takahashi, C. N., Nguyen, B. H., Strauss, K., & Ceze, L. (2019). Demonstration of End-to-End Automation of DNA Data Storage. Scientific Reports, 9(1), 1-5.


さらに今月、このようなDNAストレージ上で酵素反応を利用した「キーワード検索」も可能であることが示されました**。 実際に "comput" や "CRISPR"、"COVID"、"storage" の文字列を、8000字分の文字列が含まれた辞書DNAの中から蛍光認識で検索しています。

** Zhang, J., Hou, C., & Liu, C. (2024). CRISPR-powered quantitative keyword search engine in DNA data storage. Nature Communications, 15(1), 1-12.


あと4年もしたら、CiNiiや機関リポジトリの機能がDNAストレージ上で動作する日が来るのかもしれません。

NII RDCの今後の更なる飛躍を祈っています。

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(大波 純一)