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大学等におけるクラウドサービス利用シンポジウム2024

2024.03.22

2024年2月29日〜3月1日の2日間、大学等におけるクラウドサービス利用シンポジウム2024が開催されました。

このイベントは、各種クラウドサービスの紹介や大学等での導入事例に関する情報共有を行う場を提供することを目的として広島大学の主催で毎年開催されているシンポジウムで、2013年から開催されています。今回は10回目の節目の開催となり、広島大学創立75+75周年記念事業として、3月1日の午後に「NIIの今後と広島大学への期待」をテーマに、NIIにおける各種取組みの現状と今後を俯瞰し、取組みへの参加機関や広島大学に求める役割や期待について、NIIの黒橋禎夫所長、クラウド基盤研究開発センター長の合田憲人教授、オープンサイエンス基盤研究センター長の山地一禎教授が講演しました。

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前日の、2月9日には「『AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業』説明会」が実施されました。この説明会は、研究データ管理における様々な課題に対して、中国・四国地区の国公私立大学、高等専門学校、研究所等の学術機関が、連携し課題解決に向けた情報共有や議論する枠組みの構築の必要性を探るための場として企画・開催されたものです。

国立情報学研究所は、2022年度から、理化学研究所、東京大学、名古屋大学、大阪大学とともに文科省からの受託事業「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業(AIエコ事業)」の実施に取り組んでいます。この事業は、デジタル技術とデータ活用による研究活動の変革を全国的に促進するため、「ユースケースの形成、普及」「データ共有・利活用の促進」「研究デジタルインフラ等の効果的活用」を一体的に進めることを目的としています。

2023年度からは同事業の一環として、地域の機関連携を推進する「研究データ管理スタートアップ支援事業」が始まり、名古屋大学と金沢大学が採択されました。

最初に、AIエコ事業のプログラムマネージャであるRCOSの中野恵一主任学術基盤研究員より事業の概要と中国・四国地区における取り組みへの期待についての発表がありました。

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次に、先行して「研究データエコシステム東海コンソーシアム」を立ち上げた名古屋大学からコンソーシアム設立の背景や準備過程、コンソーシアムの今後の活動についての紹介があり、北陸地区でのコンソーシアムを準備中の金沢大学からも「研究データ管理スタートアップ支援事業」実施のための、データマネジメントポリシーやガイドライン、その他規則の整備とGakuNin RDMの活用等に関する取り組みについての報告がありました。

広島大学からは、内閣府が実施する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の第3期課題「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」の採択テーマ「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校(通称 NICE)」におけるデータマネジメントプランに基づく研究開発データの適切な管理・保存のプラットフォームとしてGakuNin RDMの利用が有効であることをご紹介いただき、中国・四国地区における研究データエコシステムに対する期待についてのお話がありました。

最後のパネルディスカッションでは中野プログラムマネージャがモデレータとなり、活発な意見交換が繰り広げられました。このパートからはオンサイト限定ということで、各発表内容に対する本音トークでの質疑応答を通じて、単なる情報共有に留まらず、深い理解へとつながっていたようでした。最後には、パネリストの皆さんから、研究データ管理の取組みを持続可能なものにするために考慮すべきことなどについてもご提言をいただきましたが、中国・四国地区の各大学で研究データ管理に携わる担当者(現場)の方からの意見も多く飛び交っていたのが印象的でした。

(宮坂 啓子)