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Kyoto - Wien - NII Open Science Workshop 2023

2023年9月1日、国立情報学研究所で「Kyoto - Wien - NII Open Science Workshop 2023」が開催されました。このワークショップは、京都大学 学術情報メディアセンターと国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センターが企画し、研究データ管理システムのあり方を議論することを目的に開催されました。
ワークショップはハイブリッドで開催され、ウィーン大学における研究データ管理システム、サービス、運用体制、NIIが開発中のNII研究データ基盤(NII RDC)とサービスについて9つの報告が行われ、日本とウィーンの研究データ管理システムのあり方について活発な議論が行われました。

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ワークショップは午前中から1日かけて行われました。はじめに主催者である京都大学の梶田将司教授から、開会に寄せて研究データ管理の展望について語られました。
次に大学における研究データ管理をテーマとしたセッションが行われました。ウィーン大学のRaman Ganguly氏から、ウィーン大学における研究データリポジトリPHAIDRA運用の変遷についての報告があり、Sunanne Bluesberger氏からPHAIDRAの今後の方向性について、特に研究データの長期アーカイブについての報告がありました。RCOSから船守美穂准教授が日本の大学の研究データポリシーに対してNII RDCがどのように関係しているのかについて報告を行い、主にウィーン大学のデータ管理システムの運用と日本への応用について議論を行いました。
午後からは国内における研究データ管理をテーマとしたセッションと、研究データの利活用をテーマとしたセッションが行われました。国内における研究データ管理セッションでは、Raman氏からEOSC中核機関としてのウィーン大学の取り組みについて、国内4大学におけるeLearning教材の登録・公開運用や社会科学分野データのキュレーションコンソーシアム設立の事例をもとにした報告があり、船守美穂准教授が日本政府の研究データ管理の方針について報告を行いました。次にRCOSの林正治特任助教が機関リポジトリ環境提供サービスJAIRO Cloudの運用と課題について、朝岡誠特任助教がJAIRO Cloudを利用した社会科学における分野リポジトリの構築と課題について、平木俊幸特任研究員が研究者のデータ管理負担を軽減するデータガバナンス機能について報告を行い、主にNII RDCの運用の方向性について議論を行いました。
研究データの利活用セッションでは、ウィーン大学のÉva Gergely氏からウィーン大学で運用しているデータベース型リポジトリDBRepoについて、人社データベースや美術館への活用について報告があり、RCOSの込山悠介准教授から研究データ管理基盤 GakuNin RDMコード付帯機能を活用した研究データ利活用事例について報告があり、これらシステムがより研究者に使っていただくにはどのような視点が必要なのかについて議論しました。

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ワークショップでは、研究データの長期保存や研究データの性質に応じたデータ共有サービスなどウィーン大学の先進的な取り組みが紹介されましたが、それらは大学の研究者の要望をもとに試行錯誤の中で行われてきたことが分かりました。日本では、まだ研究データ管理が始まったばかりですが、研究の現場の声を積極的に取り入れて研究データ管理システムの開発、サービスの運用を行っていかなくてはならないことを実感しました。

(朝岡 誠)