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IDCC21/RDA 17th plenaryに参加しました

2021.05.28

2021年4月に開催されたIDCC (International Digital Curation Conference)、及びRDA (Research Data Alliance)に参加しました。
昨今の情勢を受け、両会議ともバーチャルイベントとして実施されましたが、内容的には例年同様濃い議論が交わされ、収穫は十分です。また、両者ともイギリスのエディンバラ時間での開催となったため、イベントのコアタイムが日本時間で午後7時から12時くらいとなり、比較的オンライン参加しやすい(?)レベルの国際会議でした。
出張ではない分、日中は通常業務が入ってしまう難点もありますが・・・RCOSからは筆者を含め8名が参加しましたので、簡単な紹介をしたいと思います。

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16th International Digital Curation Conference

日時:2021/4/19

IDCCはRDAの共同イベントとして実質1日のみの開催となり、例年に比べ大幅に日程を縮小しての開催となりました。
セッション数も30前後とかなり小規模な形で実施されましたが、変わらずFAIR原則が人気のテーマです。セッションでは従来のData Stewardship、Digital Preservationといったテーマのほか、Data Management PlanやData Provenanceといったキーワードがちらほら見受けられ、その影響かコードやソフトウェアに対するFAIRの話を多く聞いた印象でした。とはいえ、"FAIR疲れ"(FAIR fatigue)に言及するセッションもあり、やや過熱気味だった昨今の潮流に少し変化が出てきているようにも感じられます。
筆者はポスターセッションでの発表も行いましたが、バーチャル会議ならではの展開として、ポスター発表の来場者ブースを各自で準備した点を挙げたいと思います。会議用に準備されたプラットフォームでは、ポスター本体のデータを表示するだけではなく、発表者の呼び出し機能(+発表者側の受付時間の設定可能)、自前の解説録画の公開機能、supplement dataのダウンロード機能、投票機能やコメント機能など非常に充実しており、割と楽しく発表準備をすることができました。惜しむらくは、(会議自体が1日しかないので)利用者側として機能を使いこなすチャンスがほとんどなかったこと・・・次回以降に期待です。


RDA 17th Plenary Meeting - Edinburgh (Virtual)

日時:2021/4/20 〜 23

IDCCからの引き続きとなるRDAは実質4日間での本会議開催となり、従来とあまり変わらない日程での開催となりました(とはいえ、例年賑わっていたサイドイベントがやや縮小されており、全体のボリューム感(?)は減ったかもしれません)。RDAは既に17回目の全体ミーティングを迎えますが、今回だけでも10を超える新規グループ(BoF)が提案され、新たな議論が展開されています。
RCOSメンバーで手分けして各基盤開発に関連する最新の議論に参加していますが、テーマが広範囲にわたり全体像を紹介することはちょっと難しいので、ここでは筆者が主に関わったData Network BoFの議論を紹介したいと思います。

Data Networks BoF

本セッションは、前回のRDA 16th plenary BoFセッションでの議論に引き続き、データキュレーションのネットワーク管理に関するトピックを扱うセッションです。各国で実施されているネットワーク構築に向けた実践を共有し、国際的なネットワークで扱うべき幅広い関心事を特定することを目的としています。時差に配慮し、同じセッションが異なる時間帯で2回実施され、各セッションでは少人数による密な議論が交わされていました。今回の結論としては以下の2つの方向性が示され、グループとしての合意を得るために引き続き議論を行うことになりました。

  • 方向性1: Peer to Peer learningの場として専門家コミュニティを構築し、キュレーションに対する信頼性の醸成に寄与する
  • 方向性2: 言語や地域の違いを包含した適切なガバナンス構造を構築する

RCOSで筆者が担当するデータキュレーション機能に密接に関わるテーマでもあり、前回のセッションでは日本からの話題提供も行っています。国際的な貢献と国内へのフィードバックの両面を視野に、引き続き議論に参加していきたいと思います。
当日のプレゼン資料や議論のメモも上記ページで公開されていますので、ご興味ある方は是非ご覧ください。

[参考]


最後に本筋からは逸れますが、印象に残った点としてオンライン会議プラットフォームの使い勝手について触れたいと思います。
IDCCとRDAでは同じプラットフォーム"JUNO"が用いられており、イベント関連情報の収集、セッションへの参加などを一元的に行うことができます。検索可能な参加者リスト、レコーディングされたセッションの閲覧、ネットワーキング機能など会議を有意義にするための様々な機能が用意されていますが、個人的に一番有用だったのはスケジュール管理機能でした。特にRDAでは複数のセッションがパラレルに動くため、参加すべき会議をブックマークしておけるのは非常に助かります。
管見の限り、国内のイベントではウェブサイトでのお知らせ+ウェブ会議ツールが主流ですが、是非こういったプラットフォームの活用も今後広まって欲しいですね。

(南山 泰之)