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コンシェルジュサービスを提供する大学
米・ニューメキシコ州立大学は、学生のストレスを和らげるため、「大学コンシェルジュ(campus concierge)」を設けました。このサービスは、他大学にも拡がる見込みです。
米国の大学は近年、フリークライミング用の壁や流れるプールなど、学業には関係のない設備にお金をかけすぎていると批判されてきました。このような批判をしてきた人達が、「学生のためのコンシェルジュサービス」と聞いたら、なんと言うでしょう?
開始してそろそろ1年となる、ニューメキシコ州立大学のコンシェルジュサービス"Crimson Concierge program"は、休暇の手配から有料の洗濯サービスまで学生に提供します。このサービスはSodexo社という、大学やカレッジへのサービス提供業者としてポピュラーなベンダーが提供しており、他大学にもこのサービスを展開予定としています。
「学生の大部分が大学選びの最終判断において、真の『大学経験(college experience)』を得られるかという観点で見ることを、私たちは知っています」「つまり、アメニティのある大学です!」と、同大学の補助サービス(auxiliary service)担当副学長補であるSteve Bettner氏は述べています。
Forbes紙はこのサービスを紹介した記事で、「米国で唯一無二のサービス」と表現しましたが、それは正しくありません。たとえばノースカロライナ州にある私立大学、High Point大学は、すでに2007年から、ニューメキシコ州立大学より規模の大きいコンシェルジュサービスを提供しています。
Bettner氏の言うところによると、新入生によりアピールするためには、他大学より派手な(flashier)オファーをする必要があるとのことです。半世紀前に立てられた建物を改築するほどの予算はないなか、大学執行部はSodexo社に相談し、同社にとっても初であるコンシェルジュサービスを、提供するということになりました。このサービスは大学の経費を用いて運営されるのではなく、参加企業とのパートナーシップと、学生から徴収するサービス料により運営されます。
コンシェルジュサービスは、国内外の旅行を計画してくれます。Forbes紙は、同サービスが(全く学業とは関係のない)東南アジアへの学生の旅を計画・手配した例を紹介しました。コンシェルジュサービスは、ディナーの予約や、地域におけるイベントの発見、そして多少のサービス料を払うと、洗濯をして洗濯物をたたんでくれ、また家事もしてくれます。
学生も親もこのプログラムを熱烈に歓迎しているとBettner氏は述べます。コンシェルジュの一人は「家の外にいるお母さん(mother away from home)」と評され、「お母さんがしてくれることを全てしてくれる」のだそうです。
学業に関係のないサービスに対して批判があることを、Bettner氏は知っています。しかし、このようなサービスは、学生のやるべきこと(to-do list)を少なくし、学業により専念できるようにしてくれます。「このサービスは、学生の卒業率に大きく寄与します。学生が最終的に大学を卒業できることを目的として、私達はこのサービスを導入しているのです」。
Sodexo社側の担当者であるRonni Schorr氏は、このプログラムは学生を甘やかしているのではなく、単に生活をよく(improve lives)しているだけと言います。これは留学生や州外学生を含む、国内外の学生にプラスになります。「彼らは未来のリーダーであり、また過度のストレス下にあります。生活において色々なことが起きています。多くの場合、自宅から離れた大学に通い、その地域に慣れたりする必要があります。私達は、彼らが受けているストレスを少しでも和らげたいのです」。
Schorr氏は、Sodexo社がこのサービスを他大学にも展開予定であると言いましたが、まだ契約にサインがされていないため、具体的な大学名を言明するのは控えました。
High Point大学のコンシェルジュサービスは、大学への電話や親とのコミュニケーション、飛行場への無料の送迎サービス、そしてニューメキシコ州立大学と同様、旅行の手配なども提供しています。また、LinkedInに載せる写真撮影やコミュニケーションスキルの研修といった、従来キャリアセンターが担っていたサービスも提供していると、同大学のチーフ・コンシェルジュであるLyndsey Derrowは述べています。6名のフルタイムスタッフのほか、学生も雇用しながら、ホスピタリティー産業についての教育も提供しています。大学がこうしたサービスについて、どの程度を負担しているかについては、言及されませんでした。
Derrow氏によると、このサービスによりHigh Point大学の学生の96%が卒業6ヶ月以内に就職先を見つけたとのことです。このサービスに批判的な教員も、自分が担当する科目で学生に「A」の成績を付けられるようになると、融和するとのことです。
「私達は学生にとってのリソースであり、気持ちよく使える存在(feel fully comfortable)でいたいと思っています。いつでも質問し答えを得られる存在と思っていて欲しいのです」。
[Inside Higher Ed] (2018.10.23)
Forget Lazy Rivers. Does Your College Offer a Concierge?
学生にコンシェルジュサービス?!ふざけるな!と言いたいところですが、これで大学卒業率が上昇するとか、学生の成績が向上するとか言われると、中退率著しい大学は何も言えないですね。
このサービスのホームページを見ると、駐車場やIDカード、ミールプラン、交通、住居のIT、キャンパス内自動販売機や洗濯機についてコールセンターの案内があり、コンシェルジュは、ディナーの予約に旅行の手配、引越や倉庫、スポーツにレジャーのチケット手配、送迎サービスにローカルイベントについて手配をしてくれます。洗濯サービスは週20ドル以下でできるそうです。家事は一セメスターに5回してくれて375ドル、学生寮だともう少し割引価格となります。
それにしてもこのコンシェルジュサービス、カウンターに数名が座っているといった生やさしいものではないのです。なんと30名近くの美女軍団により、支えられています。記事のリンクにぜひアクセスください。フライトアテンダントのようなユニフォームを着た、なぜか皆ロングヘアの、コンシェルジュ達が圧巻です。
船守美穂