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韓国の大学、エルゼビア社とギリギリの交渉を経て、契約合意

2018.01.16
オープンアクセス 学術情報流通

韓国の数百の大学を代表するコンソーシアムは、約3500の学術雑誌と数千の電子書籍を含むScienceDirectという、エルゼビア社の提供する世界最大規模の学術DBの2018年契約更新に向けて、同社との契約交渉を過去数ヶ月行っており、年末には交渉膠着状態にありましたが、エルゼビア社が同DBへの韓国の大学によるアクセスを打ち切るとしていた期限の1月12日の間際に、昨年からの値上げ率3.5-3.9%というかたちで、契約合意に達しました。エルゼビア社は4.5%の値上げ率を要求していました。

このコンソーシアムとの契約合意に基づき、これから各大学がエルゼビア社との契約を締結していきます。
一年更新の場合は値上げ率が3.9%、3年契約の場合は2017年基準から毎年、3.5%、3.6%、3.7%の値上げ率となります。


韓国の大学はこれまで、エルゼビア社の言い値の値上げ率を受け入れてきましたが、ScienceDirectは誰も読まない学術雑誌も多数含む、定額かつ高額のバンドル商品で、かつ毎年の値上げにより、この購読料が負担できないレベルにまで、各大学図書館の予算を圧迫しだしていました。

実際、ScienceDirectは多くの韓国の大学図書館にとって、毎年の最大の予算項目となっており、123大学を対象とした韓国大学図書館協会の調査によると、計1.4億ドルのデジタルDB購読料のうち、0.33億ドルがエルゼビア社のScienceDirectに支出されています。


このため昨年5月、韓国大学図書館協会と韓国大学教育カウンシル(KCUE)といくつかの団体は、韓国の300大学図書館を代表するコンソーシアムを形成し、42のDBプロバイダとの契約交渉に乗り出しました。

同コンソーシアムはエルゼビア社とは強い姿勢で交渉に臨み、エルゼビア社の提示する値上げおよび、利用率の低い学術雑誌と既にオープンアクセスで提供されている学術雑誌への課金について、交渉をしていました。また年末に交渉が膠着状態となった後は、エルゼビア社との契約更新ボイコットを組織していました。エルゼビア社は、契約交渉中はアクセスを提供することを約束していました。


同コンソーシアムとエルゼビア社は引き続き2019年契約に向けて交渉を継続します。
今回合意された年間値上げ率3.5-3.9%は、国際標準の2%より高い水準にあり、さらなる引き下げが要望されています。ソガン大学(ソウル)図書館員のKim Eun Sung氏は、エルゼビア社からの譲歩を引き出せた場合は、今年3カ年契約をする大学にも適用される可能性があるとしています。

同コンソーシアムは、値上げ要求している二つの韓国系DBとの契約更新は、未だ控えています。

[Science] 2018.1.15
South Korean universities reach agreement with Elsevier after long standoff

韓国の大学、頑張っていますねえ!ご存じのように、ドイツの大学はエルゼビア社との契約交渉において強気の姿勢で臨み、両者合意に至らないまま、2017年に引き続き、2018年に入って200以上の学術機関が契約切れとなりました。ただしエルゼビア社の学術DBへのアクセスは引き続き得ています。
ドイツの大学に続く先進国が表だっては、なかなか現れていなかったのですが、韓国の例のように、水面下では各国それぞれに、動きがなされていたのかもしれません。
グローバルな大きなうねりとなっていくことを期待したいです。

船守美穂