16th BERLIN OPEN ACCESS CONFERENCE参加報告
2023年6月6〜7日にドイツ・ベルリンで開催された "16th BERLIN OPEN ACCESS CONFERENCE −TOGETHER FOR TRANSFORMATION−"(B16会議)に参加しました。主催はOA2020とマックス・プランク協会です。OA2020は、学術雑誌を購読モデル(論文を読むために金銭を支払う)からオープンアクセス(OA)出版モデル(論文を出版するために金銭を支払う)への転換を加速させることを目的とするグローバルなイニシアティブで、世界各国の関係者から関心を集めています。 会議は約1〜2年ごとに開催されており、今回は2018年以来の久しぶりの現地開催となりました。
©CC-BY-SA Georg Botz
会議には、38カ国の大学図書館やそのコンソーシアム、省庁、助成機関等から100名以上の関係者が参加していました。私は大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)の作業部会協力員を務めており、JUSTICEからの代表として参加させていただきました。
会議は7件のパネルセッションから構成されており、OA出版モデルへの移行に向けた戦略、学術出版における不公平の解消、質保証、著者の権利、転換契約の評価など多岐にわたりました。全てプレナリーセッションであり、転換契約やOAに関する課題や問題意識について参加者間の共通認識が形成しやすいつくりになっていました。
ポスターセッションでは、JUSTICEの転換契約についての取り組みを発表させていただきました。コロナ禍の中開催されたオンラインの国際会議でもポスターセッションはありましたが、対面形式のほうがspontaneousに質問や議論が発生しやすく、期待していたよりも多量の情報を得ることができると改めて感じました。今回の会議は初対面の参加者がほとんどでしたので、なおさら対面形式のありがたさを実感しました。
©CC-BY-SA Georg Botz
パネルセッションやポスターセッションでは、世界各国のステークホルダーの転換契約やOAに向けた考えや方策に触れる機会をいただきました。UNESCOのオープンサイエンス勧告の中では、オープンサイエンスの中核的な価値として公平(equity)や包摂性(inclusiveness)が挙げられています。学術出版における公平や包摂性を実現していくには、B16会議のような世界各国で考えを交換し合う場が必要であり、個々がそれらを踏まえた上で大局的な考えに基づきアクションを起こしていかなければならないのだと感じました。
会議の最終文書や報告書は公開されているので、ご関心がありましたら、是非ご覧ください。また、ポスターセッションに出展されたポスターも公開されています。
今回の出張では、JUSTICEの皆様をはじめ多くの方々にお世話になりました。謝意を表します。 B16会議で得られた知見や構築したネットワークを還元できるよう、邁進したいと思います。
(西岡 千文)
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