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RDA 18th plenary に参加しました

2021.12.03

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2021年11月3日〜11日にかけて、Research Data Alliance(RDA)の総会が開催されました。

Research Data Alliance Virtual Plenary 18

最もよく知られているオープンサイエンスの国際的な議論をする場であるため、前回に引き続き、RCOSからも7人が参加しました。この中のいくつかのセッションについてご紹介します。

IG PID: All About Persistence

データの識別やトレーサビリティに役立つPID(永続的識別子)に関する議論が行われました。

この中でまず、前提知識として、最近の PID の議論の際にしばしば言及される 「Andrew Treloar の5 つの永続性(Andrew Treloar's Five Persistencies)」が紹介されました。

  • ・ 物体(object)の永続性(もしくは非永続性を管理するメカニズム)
  • ・ 識別子の事物(thing)としての永続性
  • ・ 識別子と物体を紐づける情報の永続性
  • ・ 識別子から物体に導くサービスの永続性
  • ・ 識別子と物体を紐づける情報の更新を許容するサービスの永続性

※「Andrew Treloar's Five Persistencies」CC-BY @atreloar を試訳

永続的識別子の議論では、リゾルバを提供する場所が資金枯渇の心配が無い公的機関であるべきかが頻繁に議論されるため、私は上記の4番目のことばかり頭にありましたが、確かにそもそもの識別子本体や事物や紐づけ情報、それぞれに永続性が必要でした。

また以下のような「信頼できるPIDシステムの要件」が9項目示されました(資料)。

  • ・ 信頼できる専業チームがメンテナンスをおこなっていること
  • ・ 透明性と持続性のあるビジネスモデルに基づいていること
  • ・ 非営利の組織によって提供されていること
  • ・ 外部からの品質検査を定期的に実施する対象となっていること
  • ・ 国際的なメンバーで運営されていること
  • ・ 公開された標準に基づいていること
  • ・ 冗長でセキュアなアーキテクチャに基づいていること
  • ・ IPv6と同等もしくはそれ以上の巨大なアドレス空間を有すること
  • ・ 広く受け入れられたデータモデルが使える、仕様文書が公開されたAPIがサポートされていること

議論の中では「ガバナンスやメンテナンスを行う組織の永続性も必要なのでは」、「技術的な視点に寄りすぎではないか」といったコメントがありました。

これら以外にも、Crossrefから提案されている「オープンな学術基盤の原則(POSI: The Principles of Open Scholarly Infrastructure)」が紹介され、「管理体制」「持続性」「保証」の3つに分けられた原則案が議論されました。

オープンデータを取り巻く議論が成熟し、様々なポリシー条項にまとまりつつある現場を見ることができました。

(大波 純一)

Building the International Model for the Global Open Research Commons (GORC)

GORC(Global Open Research Commons)は、社会的な課題解決の際に必要となるリソースの相互運用性を担保、調整するために有用な成果物を作成することを目的としたグループです。

活動のビジョンとして、データ、出版物、ソフトウェア、計算機資源、メタデータ、語彙、識別サービスなど、あらゆる研究成果へのアクセスを提供することを掲げ、EOSCやAfrican Open Science Platformなどいくつかの大きなオープンサイエンス関連クラスタが集まって議論を重ねています。GORCはIG(インタレストグループ)とWG(ワーキンググループ)の2つに分かれて活動が実施されており、今回はWGの議論へ参加しました。

WGでは、地域や研究分野を適切に表現するためのタグ分類に関する議論が展開されており、Zoteroに実装することを想定しているようです。今回のミーティングでは、制度や社会技術的な要素に関するタグを追加してはどうか、という意見や、将来的には組織の PIDを追加したいといったコメントもあり、相互運用性を担保するためのレイヤー設定に関心が集まっていることが窺えました。

当日のスライドや共有ドキュメントは下記で公開されていますので、ご関心を持たれた方は是非ご参照ください。

(南山 泰之)

Maintenance and Adoptions of the Common Standard for machine-actionable DMPs

研究データ管理の計画を記述するData Management Plan(DMP)をHuman Readableな文書として記述・活用するだけではなく、Machine ReadableかつMachine Actionableな文書として活用しようという活動である「Maintenance and Adoptions of the Common Standard for machine-actionable DMPs」についての会議でした。この活動をリードしている Tomasz Miksa 氏(TU Wien、AT)が司会を務め開催されました。

会議では、以下の4つの新しいユースケースの詳細が紹介されました。

例えば、最初の「Now that machine actionable DMPs are becoming available, what could we do with them?」ではmaDMPをFAIR Digital Objectとして扱うことなどが紹介されていました。

当日のスライドや共有ドキュメントは下記で公開されていますので、ご関心を持たれた方は是非ご参照ください。

(横山 重俊)