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COAR Annual Meeting 2019 & OPEN REPOSITORIES 2019 参加報告

大分時間が経過してしまいましたが、2019年5月21日〜23日にかけてフランスのリオン大学で開催されたCOAR Annual Meeting 2019と、2019年6月10日〜13日にかけてドイツのハンブルク大学で開催された OPEN REPOSITORIES 2019へ参加してきましたので、報告いたします。


まず、COAR Annual Meeting 2019についてです。
この会議はリポジトリとオープンアクセスの推進につとめる国際的な非営利組織COAR(オープンアクセスリポジトリ連合)の年次総会であり、40カ国以上から約110人の参加者が集まりました。21日にプレカンファレンス、22日、23日に本会議が開催されました。
プログラムの詳細はこちらで公開されています。私自身は初めての参加でした。

21日のプレカンファレンスから参加したのですが、とても活発な意見のやり取りがされていて非常に驚きました。また、興味深かったのは、リポジトリネットワークの話だけと思っていたところ、ディスカバリサービスの議論で盛り上がっていたという点です。たしかに、単体のリポジトリでできることは限られており、その上位にあるディスカバリサービスは重要です。これからのリポジトリはディスカバリサービスをより意識する必要がありますし、ディスカバリサービスにもリポジトリを意識してもらう必要があると感じました。
次に興味深かったのは、オーバレイジャーナルに関するセッションが組まれていたことでした。既存の学術情報流通を変えようとする試みが具体化しつつあることを、言葉でみるのと、実際に見聞きするのはやっぱり違うと感じ、感激しました。日本でもJAIRO Cloudを活用したプロジェクトが始められるといいなあと思いました。


次は、2019年6月10日から13日にかけてドイツのハンブルク大学で開催された、OPEN REPOSITORIES 2019(OR2019)についての報告です。
この会議は名前の通りリポジトリを中心とした話題が扱われており、技術よりの発表が数多く見られる会議です。初日にはプレカンファレンスとして複数のワークショップが並行して開催され、11日から13日に本会議が開催されました。

20190830-1.jpg
夏のハンブルグの風景

初日に開かれたInvenio User Group WorkshopでWEKO3を発表しました。Invenio3を使ったマルチテナント運用という点に注目が集まり、コミュニティに対して、運用面での貢献もできるのかもしれないと感じました。またInvenio RDMについての発表もありました。Invenio RDMはInvenio3を研究データ管理に使おうとするプロジェクトです。NIIが開発を進めている研究データ管理基盤GakuNin RDMとは違って、ショーケースとしてのRDMが中心であり、同じRDMでも視点がまったく異なるのだというのが興味深く感じました。
11日からの本会議ではいくつか興味深い発表がありました。
「Permissible Closed-Use General licences: filling the gap between Open and Restrictive Data Licences」はCreative Commonsではカバーしきれない制限共有のためのライセンスに関する発表でした。提案されたライセンスがどのように広がっていくかは未知数ですが、研究データの公開を進めていく上で、公開者、利用者にとって使いやすいライセンス体系は研究データの公開を促進する上でも重要かもしれないと思いました。
「Automating repository workflows with Orpheus, an Open Source database of journals and publishers」は、「Orpheus」というジャーナルの著作権ポリシーなどの情報を管理するDBシステムを使った、リポジトリ登録ワークフローの効率化に関する発表でした。リポジトリに論文を登録する際にもっともコストがかかるのが、著作権ポリシーの確認作業です。その作業を支援するために、ジャーナルサイトから著作権ポリシーに関する情報を自動収集し、共有DBとしての機能を提供するのがOrpheusです。発表では、実際に省略できた時間を人時間で表現していたのが印象的でした。

OR2019の発表資料はこちらからからアクセスできます
また、今回のOR2019は発表動画も公開されているので、ご興味ある方はアクセスしてみてください。


以上、簡単ではありますが、参加報告となります。
ここで得た知見を今後のWEKO3開発に活かしていければと思います。引き続きよろしくお願い致します。

(林 正治)