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ハーバード大学、SATエッセイを入学判定の対象外とする

2018.03.23
大学教育

ハーバード大学はその学生のアドミッションにおいて、大学進学適性試験であるSATまたはACTのエッセイを要求しないと発表しました。エッセイ以外の、SATまたはACTの点数は引き続き、入学判定において考慮されます。

同大学は、エッセイの点数と学生の入学後の成績との間にこれまで、相関があまり見られなかったこと、その他パーソナル・エッセイなどにおいてエッセイは引き続き要求されることなどを、SATのエッセイ要件撤回の理由としています。

アイビーリーグ大学のうち、コロンビア大学、コーネル大学、MIT、ペンシルバニア大学は既に、エッセイの要件を撤回していました。プリンストン大学、イエール大学はまだエッセイを要件としていますが、プリンストン・レビュー・ブログによると、エッセイを要求する大学は28大学に過ぎないとのことです。

SATは、2005年にその大学進学適性試験のあり方の大幅見直しをした際に、エッセイの導入を行いました。しかしこのエッセイは、事実に基づかない記述であっても高得点を得ることが可能であるなどの批判が多くありました。MITのLes Perelman教授の、「意味の無いエッセイで高得点を得る方法」に関する講釈は有名です。
このためSATは、大学進学適性試験のあり方の見直しを2014年に再び行い、エッセイについては、事実に基づく記述を求めること、また文章表現だけでなく事実分析も評価の対象とすること、エッセイは選択種目とすることなどとしました。
ハーバード大学は2014年のSATの見直しの際、「エッセイは引き続き要求するものの、エッセイが学生の入学後の成績との相関を評価したい」としていました。

プリンストン・レビュー・ブログは、ハーバード大学がエッセイを要求しなくなったことは、大学進学適性試験からエッセイを完全になくすべきであることを示唆するとしています。
「SATを受ける学生の7割、ACTを受ける学生の5割が、(現在選択種目となっている)エッセイを受けているのに対して、エッセイを入学判定に含める大学は全体の2%しかなく、エッセイは学生にストレスを生んでいるだけである。(エッセイが、学生の入学後の成績と相関がないことを考えると)、学生と納税者は意味のないものに多額の税金を投入しているようなものだ」と批判しています。

[Inside Higher Ed] (2018.3.19)
Harvard Drops SAT Essay as Requirement

[The Princeton Review] (2018.3.18)
It Is Time To Eliminate the SAT and ACT Optional Essays

[The Harvard Crimson] (2018.3.20)
Harvard Applicants No Longer Required to Submit SAT, ACT Writing Scores

[Inside Higher Ed] (2014.3.5)
A New SAT

日本では現在高大接続改革の一環で、大学入試については大学入学共通テストにおいて記述式問題を導入する方向で見直しが進められています。その意味で日本の大学入試改革は、この記事にある流れと逆行しているわけですが、一方でHarvard Crimsonの取材に対して、SATを運営するCollege Boardは、「引き続き、エッセイ(analytical writing)の学生(の学習)における重要性を認識する」としており、また、この親記事には、「ハーバード大学は、SATエッセイをなくすより、代筆などの不正が多いパーソナル・エッセイを取りやめた方が良かったのでは」などといったコメントの書き込みもあり、SATエッセイをなくすべきという意見ばかりという訳ではありません。
実際、エッセイと入学後の成績との相関が十分にはなかったとしても、あるテーマについて論を展開するという作業を課せられることを通じて、学生の問題認識・解決能力や論理展開能力は伸びることはほぼ確実なので、記述を課すということに意味がないはずはありません。
ただし、如何なる試験も制度疲労をおこし、「こういう書き方をすれば、(意味のない文章でも)高得点を得られる」といった試験テクニックが発達してしまうと、そうした効果がなくなる、ということなのだろうと思います。
そういう意味では、College Boardも2005年のエッセイ導入から9年経過した2014年にその見直しを行っているわけですし、(受験生には大迷惑には違いありませんが)10年ごと程度に、入試のあり方は見直していくというのが、適当なのではないでしょうか。

※ 大学進学適性試験であるSATとACTのうち、現在、ACTの方が多くの米国大学で用いられていますが、アイビーリーグ大学等のトップの大学はもっぱら、SATを用いているとのことです。

船守美穂