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FedEx、OERについて起訴される

FedExが無償教材から利益を得ていると、OERを制作・提供している、在ワシントンの非営利団体Great Mindsが起訴をしました。

OER(Open Educational Resources)は、他者に共有・使用・2次創作の権利を付与した無償教材であると一般に定義されます。米国の学校は、OERとして提供された教材を、1)学校でコピーするか、2)FedExなどの印刷&配達サービスを利用して、生徒に配布しています。
Great Mindsは、無償で提供された教材でFedExが利益を得ているのが不当であると主張しています。教材が商用で利用される場合、Great Mindsは、他企業とはロイヤルティー契約を結んでいるため、FedExも同様にすべきとしています。Great Mindsは、このようにして得たロイヤルティを、自身の教材開発に利用しています。

Great Mindsの利用しているクリエイティブコモンズ・ライセンスは、CC BY-NC-SA 4.0という、非営利利用に限定したライセンスであるため、こうした問題を巻き起こしています。近年は商用利用も含めたCC-BYライセンスが一般的になりつつあるため、こうした問題は発生しにくくなると言われています。

なお米国では教科書代高騰が問題となっており、公的機関やNPO等によるOERの制作と利用が拡大しています。

[Education Week] (2016.10.4)
Fedex Targeted in Open Educational Resources Lawsuit

デジタル時代には、デジタル財はオープンに、これに付帯する物理財は有償にすることでビジネスモデルをもたせるのかと思っていたのですが、こんな落とし穴もあるのですね。
Great Mindsの理屈も分からないではないですが、一方で学校側としては、自身でコピー機をフル回転するよりは、これをお金で解決した方が、教育に力を入れられるでしょうし・・・。でもFedExがロイヤルティを支払って、教材を有償販売するようになったら、それはもう無償のOERではなくなってしまいますし・・・??!

クリエイティブコモンズ・ライセンスが一般的なCC-BYになれば良いとは言っても、我々教育機関も極めて多くのものを非営利に限定して無償提供しているので、いつ同様の問題に直面してもおかしくないと思いました。

船守美穂