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社会科学における研究アーカイブの動き

社会科学研究におけるオープンサイエンス・プラットホームSocArXivを構築するとの発表が、米国の数名の社会学者および図書館関係者から2016年7月9日になされました。
Center for Open Scienceとコラボし、Open Science Frameworkを利用するとのことです。

この動きは、社会科学分野において1994年から運営されているプレプリント・サーバーSSRN(Social Science Research Network)をエルゼビア社が買収したというニュースが報じられた2ヶ月後になされており、これに牽制をかける意図でなされていることは必須です。

実際、社会科学の分野では、エルゼビア社のSSRN買収について、批判や議論がわき起こっています。このニュースのコメント欄には、"So, it is time to pull our papers from SSRN"といったコメントが見られます。

エルゼビア社は、買収したSSRNをその前に買収したMendeleyと連携して発展させると報じています。
SSRNは目下プレプリントサーバーですが、Mendeleyと連携させることにより、研究プロファイル表示機能や他の研究者との共同研究の円滑化、キュレーション機能などが付加することが期待されます。また、SCOPUSとも連携することで、引用数やその他アナリティクスを動的に捉えることも想定されています。
Mendeleyは、もともと理系分野での利用が多かったのですが、人文社会系分野も取り込み、より強力なビジネスモデルを形成すると目されています。

なおエルゼビア社は、SSRNはエルゼビア社に買収されても引き続き、論文を無償でアップ&ダウンロードできるようにする、と報じています。


エルゼビア社が、プラットフォームとなるMendeleyに加えて、コンテンツとなるSSRNも買収したとなると、相当強いですね・・・。アカデミアによるこれへの対抗手段としてのSocArXivがどの程度実行力を持つか、見守るしかありません。。。

SocArXivの発表(2016.7.9)

[Inside HigherEd] (2016.7.12)
New Open-Access Social Science Research Archive

エルゼビア社のSSRN買収のプレスリリース(2016.5.17)
Elsevier Acquires the Social Science Research Network (SSRN), the Leading Social Science and Humanities Repository and Online Community

SSRN - the leading social science and humanities repository and online community - joins Elsevier

SSRN(Social Science Research Network)のサイト

船守美穂