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研究データエコシステム構築事業シンポジウム2023開催報告

2023.11.17

2023年9月28日から29日にかけて、「研究データエコシステム構築事業シンポジウム2023(RDES2023)」が、学術総合センターにおいて開催されました。

国立情報学研究所は、デジタル技術とデータ活用による研究活動の変革(研究DX)を全国的に促進するため、「ユースケースの形成、普及」「データ共有・利活用の促進」「研究デジタルインフラ等の効果的活用」を一体的に進めることを目的とした文部科学省の事業「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」(2022年度〜、最大5年間)を、理化学研究所、東京大学、名古屋大学、大阪大学とともに受託し、実施に取り組んでいます。

本シンポジウムは、このエコシステム構築事業の開始から1年を経て、本事業の目的と現状を広く知っていただくために初開催しました。当日は、政策的な観点と利用者の視点の両面から研究データエコシステムの構築に向けた活発な議論が交わされました。

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初日は、本事業の総括責任者でもある国立情報学研究所の黒橋禎夫所長の開会挨拶に始まり、続いて、文部科学省の奥野真大臣官房審議官、本事業の推進委員会から江村克己委員長に来賓挨拶をいただきました。
その後の基調講演では、豪州クイーンズランド大学研究インフラ担当副学長Paul Bonnington氏から「eResearch: Faster, Better, and Brighter Research at Institutional, National and Global Scales - An Australian Perspective.」と題して、学内研究インフラの整備・全学展開の実地経験を踏まえた、オーストラリアでの最新の取り組みが共有されました。
そして、国立情報学研究所、理化学研究所、名古屋大学、大阪大学から順に、活動・計画報告がされた後、「データエコシステムの進化:研究データ基盤事業の全国展開と将来に向けた展望」と題したパネル・ディスカッションが行われました。

2日目は、東京大学による活動・計画報告を皮切りに、「ユースケース」と題して本事業の支援を受けて取り組みを行った様々な分野の研究者からのライトニングトークや口頭発表があり、最後にパネル・ディスカッション「研究データの価値向上と分野融合の可能性」で閉幕となりました。

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300人以上の参加者が集まったこのシンポジウムは、オンラインとオンサイトのハイブリッド形式で実施され、会場の一画で実施されたポスターセッションも盛況で、休憩時間も含めて、様々な共通課題やそれに対するアイディア、ノウハウなどについて活発な議論がされていました。

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参加者からは、「事業の目指すところや、各機関のDXに対する悩み等がよく分かった。継続してこのシンポジウムを開催してノウハウを広く共有いただけると有難い」、「パネルセッションで先生方の本音を垣間見ることができた」、「ユースケースの紹介は、GakuNin RDMを活用したデータ管理の方法に踏み込む内容が多く、大変参考になった」、「ユースケースの事例報告を通じて研究データ管理・利活用の必要性をあらためて感じた」、「今後、本事業では研究者だけでなく、いかに図書館員等支援者を巻き込めるかが課題」といった声が寄せられ、また質疑応答も活発に行われ、今後のオープンサイエンスの推進に向けて大変意義深いシンポジウムとなりました。

当日の講演資料・動画(許諾が得られたもの)については、シンポジウムのウェブサイトで公開いたしますので、ぜひご覧ください。

(中野 恵一)