APAN55 参加報告
2023年3月13日~17日の5日間、APAN(Asia Pacific Advanced Network)の55回目の会合がネパール・カトマンズで開催されました。RCOSからは山地がオンライン参加、大波と長瀬が現地参加しましたので、以下で報告いたします。


APANは、アジア太平洋地域の学術・教育基盤をネットワークで繋いで、地域の研究活動を活性化することを目的とし、年に2回の会合を持ち回りで開催しています。今回のカトマンズ大会では、アジアを中心に世界から486人が集まり、TechnologyとApplicationの分野で議論が交わされました。
■ RCOSからのプレゼンテーション
APANを構成するApplication分野の WGの一つにOSDWG (Open Sharing Data Working Group) があり、学術研究・教育の現場におけるOpen ScienceやOpen Dataの共有の在り方について、各国の基盤担当者が情報交換し検討しています。今回、OSDWGのセッションにおいて、大波からNII RDC(Research Data Cloud)の最近の開発状況の説明、および、APAN Data siteの更新状況についてプレゼンテーションを行いました。APAN Data siteは、WG内情報共有のためのプラットフォームであり、NII主導で開発しているものです。教育資材、イベント情報、ベストプラクティスなどを容易に登録、検索することができます。発表を通じて、WG内のNIIのプレゼンスの高さを確認するとともに、WGメンバからの期待の大きさを肌で感じることができました。

APAN Data siteのポータル画面

RCOS(大波)の発表
■ 会議全体の印象
Asia Pacific Advanced Networkという名前が示すとおり、APANは設立当初からネットワークインフラの拡充を続け、現在までに各国のNREN(National Research and Education Network)が高速ネットワークで接続されるに至りました。次はこのネットワークをどのように活用するかが課題となります。今回の会合でも、農業や気候変動、医療といった分野ごとに国際協調の取組みが紹介されていましたが、単発的な事例紹介が大半で、将来的な広がりを展望した発表は少なかったように思います。
このような中で、Open ScienceやOpen Dataへ向けたインフラ整備を通じて国際協調を促進すること、ひいては学術活動を活性化することが期待されており、我々がメンバになっているOSDWGの活動は、 APANとして優先的に取り組むべき重要な課題を担っているという認識を持ちました。
■ 今後の展望
OSDWGのメンバにNII RDCの活動は広く認知され、先駆的取組として評価されています。我々の日本での経験を、アジア太平洋地域のOpen Scienceの発展に活かしていくことを期待する国は多いと思います。経済的、文化的、そして宗教的にも多様な国々が集まるアジア太平洋地域で、これを進めるのは容易ではないことを想像しつつも、今後、APANのコミュニティを活用してこの地域のOpen Scienceの発展に少しずつでも貢献していきたいと考えています。
■ 付記
ネパールへの入国は今回が初めてでした。ネパールと言えばヒマラヤ、ヒマラヤと言えばエベレストということで、8000メートル級の峰々を拝めることを期待していたのですが、エベレストどころか、雪を頂いた山すら見えませんでした。地図で調べてみると、カトマンズとエベレストは東京と静岡くらい離れており、天気の良い日に高台に上らないと、ヒマラヤを見ることはできないそうです。
カトマンズ市内の野天の火葬場

ヒンズー教の寺院

ストローで飲むチベットのお酒「トゥンバ」
しかし、この点を差し引いても余りあるほど、カトマンズは魅力的な街でした。まず遺跡が豊富で美しい。ヒンズー教と仏教が仲良く共存しており、どちらの寺院も街のいたるところで目にします。そして食べ物がうまい。インド的なスパイス料理もチベット由来の食べ物(お酒)も、とっても美味いです。さらに、80年代のカオサン通り(歳がばれそう)の雰囲気を残す猥雑な街並みにも感激しました。カトマンズ、もう一度行きたい!
(長瀬 友樹)
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