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EUDAT Conference 2022 参加報告

2022.10.14

2022年9月13~15日、EUDAT Conference 2022がハイブリッド形式で開催され、RCOSのメンバ数人がオンラインから参加しました。

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EUDAT (European Data Infrastructure)は、CDI (Collaborative Data Infrastructure) と呼ばれる基盤を通じて、欧州のデータ管理やサービス提供を行う組織です。
数年ぶりに開催されたこの会議では、オープンサイエンスへの営みを着々と進めている欧州の、研究データ管理に関する議論に参加したり、サービスやインフラの最新情報を得ることができました。発表資料や動画はほぼすべてがプログラムページから公開されています。
参加したセッションについて以下に報告します。


■Research Data Management Challenges and Available Solutions

このセッションでは、研究データ管理のためのソリューションについて議論が行われました。
まず、European Open Science Networkに接続している国をEUとnon-EU(主に東欧諸国)に分け、non-EU側がEU側で統一的に利用されているソリューションをあまり使っておらず、研究データ管理の品質や継続性に問題があることが指摘されました。これを受けて、改めてEU側が各種ツールの利用推進を図ると共に、地域ごとの事情を確認するためのイベントを開催し、状況を改善するとしていました。オープンサイエンスの環境を地域内で囲い込むのではなく、戦略的に他国にも広めていく考え方は、欧州の強みを示していると思われました。
続いて上記のストーリーに合わせて、数多くの事例が紹介されました。研究データ管理は複雑で、分野によって浸透するスピードが大きく違うことから、EUDATの推奨するデータのライフサイクルや基盤によって引き続きサポートし、ユースケースを収集していく方針としていました。さらに、いくつもの基盤においてこれまで様々な研究データ管理の課題があったことを示しつつ、多くが"Solved"(解決済み)となったことをアピールしており、進捗報告としてポジティブな印象を受けました。この一方で、多角化するサービスに利用者の導線をどのように設定するかが課題となっているようで、OpenAIRE Service Catalogueのような新しいポータルサイトでソリューションの位置づけを俯瞰できるようにする試みが行われていました。

(大波純一)