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COAR Annual Meeting and General Assembly 2022 参加報告

開催から大分時間が経ってしまいましたが、5月17日〜20日にかけてマドリードで開催されたCOAR Annual Meeting and General Assembly 2022(COAR2022) について報告します。
COAR2022はハイブリッド形式で開催され、現地参加は30人、オンライン参加は100人以上でした。会議のテーマは「学術コミュニケーションの根本的な変革」です。

各国のリポジトリネットワークの最新状況が報告されていましたが、一番印象的であったのが、リポジトリとピアレビューサービスの連携を中心課題と捉えたNotifyプロジェクトの資金獲得(4年間5億円)です。
このNotifyプロジェクトは、一言でいうと、リポジトリと連携するサービスとのメッセージを標準化する取組であり、ピアレビューサービスとリポジトリとの連携を行うためのメッセージの標準化が行われています。
同プロジェクトに関するセッションは会期中に2回組まれており、同プロジェクトに対するCOARの意気込みが感じられました。COARが目指すリポジトリネットワークを活用した学術出版の実現に向けて、大きな一歩を踏み出した印象です。
各国のOAの取組も所謂、ダイアモンドOAモデル(非営利・非APCベースで購読者・著者に財政的負担を負わせることなく論文をオープンアクセス(OA)で共同出版するモデル)に注目が集まっている感じもあり、日本の取組との温度差を大きく感じました。

また、私は参加できませんでしたがCOARコミュニティフレームワークのセッションもあり、第2版に向けたワークショップが開催されていました。
会議資料や映像はこちらのサイトから確認できます。

日本の機関リポジトリでも紀要論文の公開は進んでいますが、運用は各機関リポジトリで独立しており、機関の枠を超えた取組にはなっていない状況です。加えてOAプラットフォームJ-STAGEがあり、その利用も進んでいるため、機関リポジトリを学術出版のプラットフォームとして積極活用しようという議論が起こりにくいのかもしれません。たとえば、日本でオープンピアレビューサービスが開始されたとして、どれくらいの学会が興味持ってくれるでしょうか。
Notifyプロジェクトは、機関リポジトリの活用にも繫がるプロジェクトと思うのですが、日本での展開をどう進められるかは悩ましいところです。興味ある方がいらっしゃいましたら、是非お声がけください。

最後に、キャサリンさんによるリポジトリネットワークのSWOT分析のweaknessスライドを共有します。

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研究者と如何に向き合うかは世界共通の課題となっており、RCOSとしてもこの課題に取り組んでいきたいと考えています。

(林 正治)