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研究職の激務を垣間見ました:AXIES2024 ポスター発表報告

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学術研究機関で働く研究職員にとっての「研究」以外の業務――特に「雑務」と呼ばれがちな事務手続きについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
オリエンテーションの内容、覚えていないなぁ......手引きの場所はどこだったか......といった状況で、困って手続き担当者へ質問すると、「オリエンテーションのとおりです」等と塩対応でがっかりしないでしょうか。手引きを読んだものの、自分の案件に必要な書類と期日について順序が読み切れず、詳細を問い合わせたくても、もはや気力が湧かない......。他にも業務が山ほどあるのです。

......というのは、実際の研究職の先生方からの聞き取り......、
ではなく、普段事務手続きのサポートを担当する私から見た景色と、(半ば)想像です。
実は、抽象的なお問い合わせから、先生方の本当に知りたいことを特定してお調べし回答するのは、事務スタッフにとっては「雑務」ではなく、内容の読解や他のスタッフとの協議、解決に至るまで継続するご連絡等に、時には他の流れを止めて全力で対応します。

では、その間止めていた他の仕事は、どうなるのでしょうか。
全力で人が対応している間、別の流れをせき止めずに進める、良い方法はないものでしょうか。
そこで、無い知恵を絞って考えました。

大前提の情報やFAQ、事務手続き側が受付済みの案件の一覧等が1か所に集まっていれば、そこを検索することで情報を得られて、少しは負担軽減になるのではないか。
全面任意形式で別件が混ざることの多い個別メールで申請を受け付けるのではなく、フォームで申請内容を定型化して手続きの必要情報のチェックをしやすくできないか。

そもそも、かつては、「同僚の外出予定やTips等のメモを手元にしまい込むのではなく、職場のホワイトボードに書いて誰でも読めるようにしておく」とか、「口頭やメールではなく、出張者に所定の申請様式を埋めてもらう」といった地道な置き換えの積み重ねで、日々の業務情報の共有や事務手続きの平準化・円滑化がなされてきました。しかし、リモートワークとペーパーレスの浸透の影響で、当たり前だった「空間や物理情報の共有」が前提となる手法は形骸化したと言えます。これを効果的にデジタル化し、少なくともかつての手法を補わねばなりません。
そういった課題を職場全体で取り組む前の段階で、現場のささやかな悩みに対するごく個人的な工夫をデジタルツールで試していたところ、光栄にもRCOSの先生方から機会を頂き、AXIES年次大会でのポスター発表をさせていただく運びとなりました。

4月半ばに準備を始めて、早8か月。通常業務を止めずに執筆やポスターレイアウトの準備を進めるのは、苦労の連続でした。何とか読める代物にするため、古川准教授、長岡特任助教より半年に及ぶご指導をいただき、同じ志のもと工夫を続ける事務局の仲間と理解ある先輩方に囲まれ、ようやく形にすることが出来ました。
こんなに大変なことを、先生方は日々の業務と並行して年に何度もこなしているなんて......と、痛感した次第です。いざ当事者になってみると、確かに、「雑務」は手早く済ませたくなります。職場での本来の自らの存在意義を再確認する機会にもなりました。

ポスター展示のコアタイムでは、予想をはるかに上回るお立ち寄り、ご質問をお受けし、機関の規模やお立場が異なる多くの方々から関心をお寄せいただけて驚きと感謝の連続でした。発表の契機となった取り組みの根源にある「現場のささやかな工夫」が、発表をご覧くださった方々に少しでも伝われば幸いです。
日々の取り組み、そして今回の発表に際し関わってくださった全ての皆様に御礼申し上げます。

発表ポスター:スタッフ主導の自律的な業務自動化およびコミュニティ活性化支援 ―Slack機能を活用したボトムアップ型DXの試み―

(市地)