第11回China-Japan-Korea Science and Technology Joint Seminar参加報告
2024年9月3日(火)~7日(土)に、中国の成都市で中国・日本・韓国の学術情報サービスに関する合同セミナーが開催されました。今年は中国Institute of Scientific and Technical Information of China (ISTIC) がホストし、パンダ外交の都市としても有名な成都市で開催されました。今年は、NIIの黒橋禎夫所長が招待講演をされました。本セミナーは学術情報流通に係る専門家が集まり深く議論をする非公開の会で、会員組織により運営され、持ち回りで開催します。日本はJSTが会員として技術交流をしており、そこにNIIが招待を受けて参加をしました。過去2023年に山地教授、2017年に船守准教授が参加発表し、今年で11回目の開催となります。
招待講演に続き、各機関から6つのセッションで25件の発表がありました。学術情報として論文要旨およびOA本文、特許書誌および本文データを収集する基盤を構築し、言語処理を経てサービス化へ繋げる取り組みや、データサイエンスに使用可能なデータセットとしてクレンジング、キュレーション、タグづけ、著者識別、ID付与等の付加価値をつけたデータ提供の取組み、さらに生成系AIに用いる教師データセット、自然言語処理のためのLLM開発およびオープンLLMの試みなど、日本より半歩ほど先に進めてサービス化に繋げている点が印象に残りました。また国としてのデータ駆動型研究の推進やAI戦略等がありつつも、情報サービスへの予算圧縮の傾向に苦慮し、開発~提供、運用方法の最適化に関する場外の苦労話では、お互いに大きく頷くシーンもありました。
初めての参加ながら、クローズな場であるからこその学びがあり、日本国内で普段に交流があるJSTの専門家の方々との、国外に出ることで一層に深い議論ができたことと合わせ、大きな経験でした。NIIの研究データ基盤 RDC、そして国内の情報サービスの未来に、この経験を活かしていきたいと思います。
- ・ 招待講演
- - Originality evaluation based on the processing and understanding of scientific papers with AI, by Prof. Wei Lu, Wuhan University
- - From Data Platform to Knowledge Infrastructure, Prof. Sadao Kurohashi, NII
- ・ オープンサイエンスセッション
- - Japan Open Access Policy and NII RDC, M. Tanifuji
JSTから、J-Stage、J-Stage Data、Jxiv、researchmap、研究資金DBのサービス状況の紹介や、研究者倫理についてファンディング組織としてどう対応をしていくか、その取り組みと共に深いお話がありました。
(谷藤 幹子)
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