AXIES2022参加報告
2022年12月13日〜15日の3日間にかけて、大学ICT推進協議会(AXIES)2022年度年次大会が、宮城県仙台市仙台国際センターで開催されました。本大会に参加しましたので報告いたします。
本大会のテーマは「DX up to DATE −シン・セカイへ向けて−」でした。
プログラム構成は、基調講演2件、一般セッション14件 (口頭発表 73件、ポスター発表14件)、企画セッション 20件、ランチョンセミナー12件、出展者セミナー23件、全大会・イベント6件となっています。
本大会は、全てのセッションがオンライン聴講が可能なハイブリッド開催でした。その他展示ブースでは開催期間中、85社による103の企業ブースでのソリューション・製品等の展示があり、これまでのAXIES年次大会の中で最大規模とのことです。
参加者数は公表されていませんが、計画段階として、およそ900名(現地参加者:600名、オンライン参加者:300名)が見込まれていたとのことです。
以下に、参加報告・感想等をいくつかご紹介します。
■ 「教育」と「研究」に関連して
11月にNII に入所し、初めての出張がAXIESでした。初日は朝6時半東京駅発のはやぶさに乗り8時に仙台着。仙台は近いです。仙台では、地下鉄の座席を我先に席を奪い合う光景は全く見られず、人がギスギスしていないように感じました。
さて本題ですが、参加したセッションのテーマは大きく「教育」と「研究」に分類されるもので、改めて大学の2つのミッションを認識いたしました。
前者の「教育」セッションとして以下を聴講いたしました。
・ 12/13 10:45-12:15 13AM2A「教室の未来像を考える」
こちらでは、コミュニケーションや移動時間等の観点からオンライン/リアル授業の賛否両論ある中でICT(AV機器等)を活用した教育の平等性向上や、メタバースを活用したVR教室の実現の重要性について、教室の意味/位置付けを背景に、リモートでの講義、教室の未来像、VR、学生のメリットについての話がなされていました。
後者の「研究」セッションとして、以下を聴講いたしました。
・ 12/15 9:00-10:30 15AM1E「大学における研究データガバナンスを考える」
こちらでは、NII RCOSの船守先生をはじめ、慶応大学、大阪大学、金沢大学の先生方が登壇し、データガバナンスの重要性や取り組みについてご説明されていました。NIIがハブになり、各機関と連携してデータガバナンスの推進に取り組んでいることを改めて理解いたしました。質問時間に会場から、「NIIの3基盤は誰のためのものなのか?」というご質問があり、「国や機関のためではなく、研究者のためになるようにしてほしい」とのご意見をいただき、船守先生からは研究データのガバナンスのための研究者の責任が重要であることもご説明されていらっしゃいました。これに限らず、その他のセッションを通して、利用者(学生、研究者等)へのベネフィット提供に向けた活動が重要であることを再認識いたしました。
大会終了後、久しぶりに伊達政宗公の騎馬像を見ようと、会場裏手の仙台城址に登りましたが、今年3月の福島県沖地震で傾いてしまい現在修復作業中とのことで見られなかったことは残念でした。
(亀田 武)
■ 認証基盤部会セッションでのSP側視点での問題提起
2022年度の大学ICT推進協議会の年次大会(AXIES2022)では、認証基盤部会の企画セッション
・ 12/13 9:00-10:30 13AM1A
「教育研究機関におけるオンラインによる本人確認と認証機能強化の実現に向けて」
にお声がけいただき、GakuNin RDMから『SP側の視点での次世代認証連携への課題・期待』という題目で発表させていただき、パネルディスカッションでも議論させていただきました。
次世代認証基盤に対する大学側からの要望は他の大学所属の先生から発表がありましたので、私の発表では主に国立研究開発法人等のサービス利用機関のSP利用者からの需要を紹介いたしました。ご協力いただいた機関にヒアリングを行い内容を整理して、承諾を得た上で次世代認証基盤の仕様に向けて、問題提起をさせていただきました。質疑応答の中では、「SPにおいて認証保証レベルの具体的な応用事例はあるか?」といった質問がありました。現時点での典型的な好事例はないものの、今後、医療や教育の研究データなど機微情報を含んだデータの管理・共有に利用する事が考えられます。
本セッション会場は立ち見者がでるほどの満員で、認証コミュニティの参加者の次世代認証基盤に対する関心の高さが伺えました。今後はSP側も認証保証レベルに対応するなど、学認のサービスとの連携などを強化していきたいと改めて思いました。
(込山 悠介)
■ 研究者の永続的識別子ORCIDの現状と将来
以下の企画セッションを聴講しました。
・ 12/13 9:00-10:30 13AM1B「永続的研究者識別子ORCIDの現状と将来」
このセッションでは、研究者の永続的識別子(PID)の一つとして挙げられているORCIDについて、その現状と将来について、3件の発表ならびにパネルディスカッションの形で議論がなされました。
ご発表された方々は、いずれも長年に渡りORCIDの普及に取り組まれており、データに対するPIDとしてのDOI、組織に対するPIDとしてのROR(Research Organization Registry)と併せることで、更に学術情報の流通が促進されるであろうことに対する期待がある一方で、さらなる普及に向けた課題も見えていることが示されました。
(下山 武司)
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