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図書館総合展2022参加報告

2023.01.13

2022年11月1日(火)〜11月30日(水)に開催された図書館総合展2022に、国立情報学研究所(NII)も出展いたしました。

NIIの展示ブースでは、フォーラムテーマの内容を中心に、大学図書館を取り巻くサービスについてご紹介しました。本レポートでは、RCOSメンバーが登壇した展示ブースについて報告いたします。

■ 機関における研究データ公開サービスへの期待と展望

「機関における研究データ公開サービスへの期待と展望」セッションの企画を担当しました。研究データの公開は、論文のオープンアクセスとは考え方が異なり、まだまだ試行錯誤が必要なテーマです。本セッションが、当事者である各機関の責任者、担当者の取り組みを後押しする一助となることを期待します。

(南山 泰之)

■ 多様化するOAの実現手段とその評価

オープンアクセス(OA)の背景には、様々なステークホルダと各々の動機があり、OAの実現手段は多様化しています。登壇者には、特に図書館コミュニティにとって関心の高い、欧州を中心とした転換契約の動向、日本の機関リポジトリのコミュニティが担うべき役割、ダイヤモンドOAの可能性についてそれぞれご講演いただきました。ご講演を通して、改めてOAの実現手段それぞれの利点や課題が浮き彫りになったと思います。質疑応答では、参加者より研究者のインセンティブ、研究評価の問題等が提起され、より高い視座からOAの推進について考える機会となりました。

(西岡 千文)

■ 学術情報発見サービスの表と裏

2022年11月16日、図書館総合展に於いて「学術情報発見サービスの表と裏」と題し、学術情報発見サービスの良い使い方やインターフェースなどの「表」から、内部に格納されているデータの処理、背後で行われている活動などの「裏」の姿を共有するセッションが開催されました。
本セッションではまず国立情報学研究所の論文・図書・研究データを発見するCiNii Researchの仕組みと利用拡大について紹介を行いました。特にインターフェース面の旧CiNiiサービスからの改善と、連携するデータソースの追加による大規模化の傾向について示すことができました。
続いて国立情報学研究所コンテンツ科学研究系の金澤より、「CiNii Researchを支えるデータ整備の裏話」と題して、CiNii Researchをより深く使うためのノウハウの共有や内部で実施されている名寄せアルゴリズムの解説が行われました。最初の2件のセッションを通じてCiNii Researchの様々な意味での表と裏から情報共有と発展性について公開できたと考えています。
次に独立行政法人大学改革支援・学位授与機構研究開発部の蔵川圭教授より、同機構における情報基盤の構築とその背景について説明がありました。大学組織で実施されるアクティビティの特異性と遵守する法令に合わせたデータモデルは、普段学術情報を共有することの多い図書館総合展でも珍しく、興味深いものでした。最後に筑波大学図書館情報メディア系の松村敦助教より、「図書館における情報探索と発見」と題して、情報探索や図書館がどうあるべきか、期待されるサービスを実現するために現在どのような研究が行われているかが解説されました。物理的・歴史的背景のある図書館の存在と、CiNii Researchなどの電子サービスは対極的ですが、それぞれの価値と今後要求される発展の方向が提案され、図書館総合展の参加者と共に未来を考える場となりました。各講師の発表資料はこちらにて公開されています。

(大波 純一)

■ 機関リポジトリで実現する書誌多様性

機関リポジトリがオープンサイエンス時代に果たすべき役割の一つとして、多様な知的生産物を共有することが挙げられます。このことにより、多様な人々と学術の接点が形成され、さらなる多様性が醸成されていくことが期待されます。登壇者には、教材、発表資料、研究データの機関リポジトリでの公開をテーマとして、それぞれご講演いただきました。各リソースの公開について、動機、実践、インパクト等、多くの観点をカバーしていただきました。登壇者からのご講演を実践に移していき、その積み重ねをステークホルダ間で共有していくことが肝要だと考えています。

(西岡 千文)

上記の他、ブースプレゼンではNIIが提供する研究データ基盤「NII Research Data Cloud」や研究データ管理基盤「GakuNin RDM」の紹介動画を公開いたしました。
YouTubeでもご覧いただけます。

(宮坂 啓子)