NII 学術情報基盤オープンフォーラム2022
2022年5月31日(火)〜6月2日(木)にかけて、NII学術情報基盤オープンフォーラムがオンラインにて開催されました。
2022年4月から「SINET6」が始動、NIIは、ネットワーク基盤「SINET6」と研究データ基盤「NII RDC」を中核に、クラウド環境、認証を包含した『学術研究プラットフォーム』をご利用いただくことで、大学・研究機関における研究・教育活動のデジタルトランスフォーメーション(DX化)の基盤となることを目指しております。
本レポートでは、RCOSメンバーが主体となった5つのセッションについて報告いたします。
■特別トラック:ナイトセッション
「オープンサイエンスのためのデータ管理基盤ハンドブック 〜学術研究者のための"個人情報"の取扱い方について〜 の公開」
本トラックは、NIIが現在作成中の「オープンサイエンスのためのデータ管理基盤ハンドブック」を紹介する公開前記念イベントになります。
冒頭の喜連川所長のご挨拶の後、本ハンドブック作成委員会の座長代理を務める宍戸常寿先生(東京大学)より、ハンドブックの概要説明がありました。その後、作成委員会メンバーと、想定読者である各分野の研究者をお招きしてパネルディスカッションを行いました。
ハンドブックは近日公開予定です。もちろん無料です! ぜひダウンロードいただくとともに、本トラックの動画や資料も併せてご覧いただけますと幸いです。
当日の動画や資料はこちらよりご覧いただけます。
(相沢 啓文)
■NII RDCトラック1
「
AXIES-RDM部会との合同セッション 大学での研究データ管理体制構築への道のり」
NIIオープンフォーラムにてAXIES-RDM部会との合同セッションを開催するのは、今回で5回目です。当初の、雲をも掴むような話であった「大学における研究データ管理」に関する議論の開始から、AXIESの「学術機関における研究データ管理に関する提言」「大学における研究データーポリシー策定のためのガイドライン」と、第6期科学技術・イノベーション基本計画におけるポリシー策定の義務化を経て、大学における議論が進行しつつあります。
しかし、大学においては義務化されたポリシーの策定で満足してしまいがちであるため、ポリシー策定の後の学内における研究データ管理の整備が重要であることを認識するためのセッションを組み立てました。これには、学内の体制整備と取り組みの具体化だけでなく、人材育成なども含まれます。
日本の大学は、学内の研究データ管理整備のスタートラインに立ったところです。これから、それぞれの大学固有の研究データ管理が形成されていくことが期待されます。
当日の動画や資料はこちらよりご覧いただけます。
(船守 美穂)
■NII RDCトラック2
「データ公開基盤としての機関リポジトリ」
本セッションでは、データ公開基盤としての機関リポジトリが目指すべき方向について、NII・研究者・図書館それぞれの視点から検討しました。
様々なアイデアが共有されましたが、NIIの課題としては、それらの共通項を理念として提示し、多くのコミュニティをデータ公開に巻き込んでいくことかと思いました。前途多難ですが、各コミュニティと協力しながら着実に履行していきたいと考えています。
当日の動画や資料はこちらよりご覧いただけます。
(河合 将志)
■NII RDCトラック3
「教育コンテンツ共有プラットフォーム 学認LMS」
「学認LMS」は2021年6月に正式運用を開始してから約1年が経ちました。
このトラックでは、学認LMSで現在受講できる情報セキュリティ講座と研究データ管理講座の更新情報や、利用機関の管理者が使える各種機能について紹介を行いました。
これからも各講座の教材をアップデートしていくとともに、利用機関からのご要望を受け止め、利用しやすい環境やオプション機能を提供していけるように努めます。
当日の動画や資料はこちらよりご覧いただけます。
(古川 雅子)
■NII RDCトラック4
「GakuNin RDMの現在とこれから」
前半は、RCOSの下山から研究データ管理基盤GakuNin RDMのアップデート情報について、また、広島大学と信州大学から導入機関側の観点での利用事例が紹介されました。トラック後半では、RCOSの藤原と横山から、今後の学術研究プラットフォームの新機能の研究開発の展望が説明されました。
オンライン開催ではありましたが、本トラックには350名近い方々にご参加いただき、テキストで受け付けた質疑応答にも質問が多く寄せられ、講師と活発な議論が行われました。研究データ管理への関心の高まりが参加者から感じられたトラックとなりました。
当日の動画や資料はこちらよりご覧いただけます。
(込山 悠介)
■NII RDCトラック5
「大学における研究データガバナンス」
大学は近年、研究データについてもコンプライアンスを求められつつあります。研究不正における根拠データの提供や国家安全保障上の機密情報の扱い、個人情報の取扱いを含む情報セキュリティなど、 研究データに関連して問題が発覚した場合には、当該研究データを生成した研究者だけでなく、研究者の所属する機関も、責任ある対応を求められます。
大学はこれまで、研究者の研究活動については、研究者に任せきりでしたが、こうした機関のコンプライアンスを保つためには、学内の研究データの管理について、グリップが効いている必要があります。そのような状態を、「研究データガバナンス」の保たれている状態と言います。
大学において研究データガバナンスを構築する方法は、国際的に見ても確立されていません。今回のセッションでは、研究データガバナンスに関わる議論の第一歩として、研究データ管理計画(DMP)を用いた、学内における研究データ管理状態の把握の可能性について議論をしました。
当日の動画や資料はこちらよりご覧いただけます。
(船守 美穂)
NII学術情報基盤オープンフォーラムは、オンラインでの開催も3回目となり、参加者の皆様からは移動時間がかからず参加しやすいという声がある一方、講演者や周囲の方と直接話せずつながる機会がないという声もいただきました。アンケートで寄せられた皆様の声を参考に、今後もRCOSの取り組みをお伝えしてきたいと思います。
- カテゴリ別
- RCOS運営
- イベント報告
- オープンサイエンスの動向
- 活動報告
- 記事一覧へ戻る