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1年目のNIIと20年目のつくば

2021.09.03

私がNIIに入所してからちょうど1年が経過しました。
入所時にはすでに在宅勤務指示が出されており、面接もリモート、その後の勤務もリモートです。
じつは、RCOSメンバーの多くの方がすでに知り合いであったため、在宅勤務であってもそれほど違和感なく仕事を始めることができたのは幸運だったと言えるでしょう。
そのような状況もあり、不精な私は結局住居を引っ越すことなく今に至っています。

さて、その私の住居はつくば市にありますが、これまでおよそ20年の間住み続けてきました。
つくばは、霞ヶ浦や牛久沼のような水場が近いからか、おおむね1年を通してすこし磯臭いような湖沼の匂いがします。
私の故郷ではより強烈に四季を反映した雰囲気がありましたが、また、都内に住んでいた頃も都市には都市なりの季節を感ぜられましたが、比して、つくばではそのようなことが少ないように思えます。

そのような7月のある日、珍しく、朝起きて草木の強い香りを感じました。
梅雨明け直後の独特の初夏の雰囲気で、数日の後には、すぐに土臭さを交えたような真夏の空気へと変わっていきます。
実際には数日後には雨が降ったり曇りがつづく天候となりましたが、とにかくこの日はちょうど休日でもあり、早速山へと出かけてみました。
つくばといえば筑波山が有名ですが、私がよく訪れるのは北側にある加波山で、筑波山に比べると登山者も少なく喧騒から逃れるにはちょうど良い場所です。
登頂するのもよいですが、夏は特に沢伝いに散策しながら自然を観察するのが私のお気に入りです。

高山ではないので1年を通して動物の痕跡が見られますが、やはりもっとも痕跡を多く残すのは人間です。
おそらく、「動物しか入らない」ような場所はなく、どこに分け入っても人間の痕跡が見られます。
木の切り株、鉈で切られた竹、食事の跡、日常ゴミなど、至る場所に。
たしかに喧騒からは遠ざかったものの、あらゆる場所に人間の痕跡を発見し日常を意識してしまうというやや逆説的な状況にひとり苦笑しながら、その日は山を降りました。

写真は、山を降りた、麓での夕方の一枚です。

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(天野 晃)