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FORCE11サマースクール(FSCI2020)開催報告

2020.08.21

FAIR(Findable, Accessible, Interoperable, Reusable)を発案したことで知られるFORCE11が、去る2020/8/3〜13、サマースクールFSCI2020(FORCE11 Scholarly Communication Summer Institute)をオンラインで開催しました。

例年FSCIは、1週間の合宿形式で開催され、学術情報流通の最先端の動向(FAIR、プランS、再現性、OA、各種ツール等)について、多くのグループワークを通じて学べる場です。 講師は、世界各国から公募形式で選ばれており、「この最先端の動きやプラクティスを、皆に伝えたい」という熱意をもった人達の集まりです。学習者も、(奨学金を一部付与していることもあり)世界各国から集まり、多様な視点をグループワークにもたらします。

2〜3日、同じグループで集中的に議論し、新しい共通認識が生まれたり、仲間意識が生まれたりする体験を「FSCIness(フィスキネス)」と呼ぶぐらい、素晴らしい体験です。 (昨年はUCLAのキャンパスで、素晴らしい夏を過ごしました!)



今年は新型コロナのため、オンライン開催でした。オンラインで果たして、このFSCInessを出せるのか? 単なるセミナーや学会(発表+質疑応答)ではないため、事務局も必死で、知恵を絞りました。
世界中の人々が参加できるように、同じ内容を朝晩2回したり、議論はリアルタイムとSlackの併用、2〜3回のオンラインセッションは数日ずつ空けながら参加できるようにするなど。 また、科目をTコース(8/4、6、11)とWコース(8/5、10、12)に分け、それぞれ8科目から1科目を選択できるようにしました。

その他、夜のおしゃべりタイムとしての "Fireside cats"(日によってテーマが変わります)、共通の関心を有する人と1対1でランダムに組み合わされるRandom Network、Do-a-thon、Battle Decks(PowerPointカラオケ(PPTにランダムに表示される絵で、その場でストーリーを適当に作っていく))などのお楽しみも用意されていました。


私は、DOAJ(Directory of Open Access Journals)のTom OlyhoekとIvonne Lujanoと、世界の出版市場やプランS、研究評価についてのコマを担当しました。臨時講師として、COARのKathleen Shearerからは「書誌多様性(bibliodiversity)」について、EIFLのIryna Kuchmaからは「欧州におけるプランSの状況報告」を得て、豪華講師陣でした。
参加登録者は28名で、欧米だけでなく、インド、バングラデシュ、韓国、スーダンなどからの参加も得ました。
W27 - Global Overview of the Scholarly Publishing Market: Differences Between the North and the South and Possible Consequences of Plan S


授業は1科目あたり3コマ、FSCI事務局の置かれた米国西海岸の朝・夕に、同じ内容が2回ずつ、開講されました。世界の受講者が受講しやすい時間に受講できるように、という配慮です。(夜中0〜2時、翌朝9〜11時に講師役をした私には、しんどかったですが・・・)。

私が講師を務めた科目は、講師がはじめに数10分の話題提供をし、その後グループに分かれてのグループディスカッションでした。ZOOMのブレイクアウトルーム機能を使い、受講者はランダムに4〜5名ずつに分かれ、議論をしました。

議論が毎回盛り上がり、時間が足りなかったので、プランSについては秋以降、FORCE11の元にWGを立て、議論を継続することになりました。できればプランSの影響を報告書としてまとめ、Coalition Sに提示して行く予定です。
参加のご関心があるようでしたら、船守宛にご一報ください。


今回、FSCI2020全体としては、41カ国353名の参加を得ました。開発途上国からの約90名については、参加費(1科目110ドル、2科目185ドル)免除としたこともあり、国際色豊かで、議論にも幅ができ、興味深かったです。日本からの参加者が2名のみと少なかったのが残念ですが、これだけ国際色豊かだと、日本人でも発言しやすいので、次回に期待したいです。

この開催報告を読んで興味を持った方、ぜひ来年は参加してみてください!

(船守 美穂)