ベルリン自由大学Cosimaさん訪問記
去る6月10〜13日、RCOSではベルリン自由大学のコジマ・ワーグナーさんを研修で受け入れました。コジマさんは、もともと日本学の研究者ですが、図書館の部課長となるべく、トレーニング中です。部課長となるためには、座学のほか、二カ所で実習をする必要があり、その一カ所として日本が選ばれました。日本における滞在は、5月27日〜6月14日の3週間で、第一週はJOSSとNIIオープンフォーラムに参加され、第二週は正式な受け入れ先のドイツ日本研究所に、第三週はNIIにおられました。持ち前の人なつっこさと、素晴らしい日本語力を活かし、JOSSやNIIオープンフォーラムにも苦なく参加され、英語が少し苦手な職員も心を開いて、親しく意見交換をしていました。
ベルリン自由大学は現在、研究データ管理を全学で進めるべく、大学図書館の運営体制の見直しを図っているそうです。これまで大学図書館は図書館の建物のなかで研究者を「待つ姿勢」でしたが、コジマさんのような研究者を図書館員として迎え入れ、研究者の研究活動のなかに積極的に入っていき、研究支援をすることが想定されているそうです。そのような図書館員のことを、"embedded librarian"というのだそうです。なんでもドイツ語でもそのような表現がなく、英語の表現を用いているのだそうです。
コジマさんはNIIでは、RCOSの各基盤やJPCOAR、CODHの話を聞かれていきました。またコジマさんの出身母体である東アジア学では、非アルファベットの文献が研究活動において頻用される一方、現在用いているEx Librisのディスカバリーサービスではこれら非アルファベットの文献がうまく検索できないことから、これについて学術コンテンツ課および慶応大学図書館でも意見交換をされていきました。これら意見交換を通じて、これがどうやらドイツ固有の問題ではなく、日本の大学も直面している課題であることが判明しました。最低限、日本語の文献については日本からの課題解決ができると、世界の日本研究者に貢献ができることになります。何かしらの新たな展開に期待したいところです。
コジマさんは、東大社研の運営する社会科学データアーカイブも訪問しました。東大社研とベルリン自由大学の東アジア大学院教育プログラムのパートナー機関であり、毎年教員が講師として派遣されるなど、教員交流が活発に行われています。コジマさんの訪問目的は、1)ドイツの日本研究者もSSJDAのデータを利用できるか、2)ドイツの日本研究者が集めた研究データをSSJDAに寄託できるかを知ることにありました。これらはいずれも可能で、かつ、東大社研にとっても世界におけるヴィジビリティを上げる良い機会となるため、以後、積極的に連携をすることが確認されました。このようにして国際交流が発展していくのは、嬉しいことですね。
コジマさんの歓送迎会は、コジマさんの「日本の居酒屋文化を知りたい」という要望に応えて、独特なムードの漂うお魚系の居酒屋で行われました。コジマさんの明るい大らかな性格で、みんなとても楽しみました。コジマさんも「NIIは情報学ということで、ITに強い人ばかりいるイメージで、おっかなびっくりだったが、来てみたらとても皆、暖かく迎え入れてくれて、嬉しかった」と仰っておられ、さらに、「帰りたくない。インターン等で今度はNIIに長期滞在したい」と何度も繰り返し、またの来訪を狙っていただいているようです。
今回の滞在をきっかけに、息の長い交流につながることを期待しています。
(船守 美穂)
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