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JOSS2018 開催報告

 昨年立ち上がった『オープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)』の採用面接で、課題のプレゼンで私がプロットの柱としたのは「巨人の肩の上に立つ」という言葉でした。
 ニュートンが論敵に宛てた書簡の中で使ったことで有名なこの言葉は、Google Scholarのトップページに掲出されていることでも知られ、先人たちの業績や研究などを巨人に喩えて、学術研究の発展はそれらの積み重ねの上に構築されるのである、ということ示しています。
 そこで私は「つまり、巨人の細胞たる研究者に栄養たる情報を循環させ、代謝を促進し、更に巨人を成長させる、そのようなシステムを構築することが必要なのではないか。そうしたシステムの構築に携わることができるのであれば無常の喜び、じゅげむじゅげむ......」と唱えて何とかRCOSに潜り込みました。
 その3ヶ月後の去年6月にオープンフォーラムがNIIで開催されましたが、その中ではオープンサイエンスに関するものはほんの数セッションでした。

 しかしそれから1年後となる今年の6月18日と19日、『Japan Open Science Summit 2018(JOSS2018)』がオープンサイエンスのためのものとして開催されました。

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 初日の朝には大阪で地震があったなか、それでも650人ほどの申し込みの内550人ほどに来場いただきました。
 登壇者には大幅に遅れた新幹線の中から「今小田原を過ぎました」「新横浜を出ました」とマイクを押し当てた携帯越しにご講演いただいた先生もいました。
 「直ぐに私たちにも試せるようにしてほしい」
 「規模の小さい大学ではどう取り組むべきなのか」
 「組織内で取り組む為のメソッドのようなものはないのか」
 各セッションでは質問がなされ、熱く議論されていました。

 閉塞感の漂う日本の社会。IT革命の渦に飲み込まれそうな社会。ともすると溺れそうになり、暗澹としそうな思いにかられそうな私ですが、だからこそ、立ち上がった巨人の肩の上の視座より導かれ、新しい社会に誘っていただけることを期待しています。
 そして、オープンサイエンスというコンセプトのもと、IT革命によってもたらされた効率と検索と発信という技術を使い、是非とも巨人の細胞たる研究者の皆さんの役に立つ、システムを構築していなかくてはな、と改めて思います。

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 最後に、NIIスタッフの他、『Japan Open Science Summit 2018(JOSS2018)』の開催にご尽力いただいた科学技術振興機構、物質・材料研究機構、文部科学省科学技術・学術政策研究所、情報通信研究機構、学術資源リポジトリ協議会の関係者様、協力、後援、協賛いただいた方々、そして何よりご来場いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。
 また来年JOSSでお会いしましょう!!

(河野 明日路)