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COS滞在記 2018年冬

2018.02.19

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2018年の1月から2月にかけて約20日間、Charlottesville, Virginia, USにあるオープンサイエンス基盤の研究所Center for Open Science (COS)に滞在し、COSの研究データ基盤サービスであるOpen Science Framework (OSF)のサービスの運用方法についてトレーニングを受けました。訪問は二回目ですが、今回の目的は日本でのNII研究データ管理基盤サービスGakuNin RDMの運用にOSFの方式を導入するためでした。

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COSのオフィス風景
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共有キッチン

COSではInfrastructure DeveloperのBarrett Harber氏とDevOpsを改善する仕事をしていました。彼の3週間の工数をほとんど私のレクチャーのために当てて下さいました。また、朝夕の送迎とランチとディナーも付き合ってくれていたため、途中からはCharlottesvilleでの仲の良い研究室仲間といった感じでした。Barrettのレクチャーでは、ハンズオン形式でKubernetes環境上に最新版のOSFをデプロイしていました。作業中に彼らのソースコードの不具合が見つかることも有り、たまにお返しできたこともありました。ハンズオンの実行待ちの時間で、二人で議論しながら東京のNIIからRedmineを介した質問に回答している日もありました。

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COSのインフラエンジニアBarrettと筆者

二人で行うKubernetesのハックが未知のエラーに遭遇した際は、Technical ManagerのMichael Haseltonが、リモートデスクトップで常時サポートしてくれる状況で大変ありがたかったです。特筆すべきはMichaelとBarrettはミドルウェアKubernetes自体のコミッターでもあるので、アプリケーションだけでなくミドルウェア開発者から直接レクチャーが受けられたのは大変贅沢でした。
InfrastructureとFront-end、技術全体の開発会議に出席させていただいた中で、COS流のアジャイル開発の方式も見えてきました。フロントエンドは次期バージョンに置き換えていくそうで、我々の開発が追いつけるかどうか今から戦々恐々としています。

全員参加の定例セミナーでも、私が日本から訪問して運用のトレーニングをしている旨をCOSのメンバーにご紹介いただきました。夕方帰る前には上席プロジェクトマネージャーのDavid Litherlandや、COS創設者の一人でCTOでもあるJeff Spiesが声をかけてくれたので、日本でのGakuNin RDMの開発の進捗や学術機関からの期待の大きさなどについて、時々伝えていました。創設者のBrian Nosek教授が在室の日は、スタンディングタイプのPCデスクで立って仕事をされていたのが印象に残っています。NIIでのDevOps技術やミーティング手法の改善に、COSで学んだ内容を取り入れて行きたいと考えています。GakuNin RDMの開発チームにはKubernetesを用いた新しい運用方法の導入などを進めて行きたい旨を伝え、現在、研究開発を進めています。将来的にはユーザの希望に沿ったGakuNin RDMの提供を、より柔軟に出来る様にしていく予定です。

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余談になりますが、BarrettがCharlottesville市内を案内してくれた事もあり、アフターファイブや休日は散策して街の歴史と文化、The University of Virginia (UVA)の校風、街の文化、特産品も吸収できました。野菜を多めに食べていたもののアメリカ型の食生活で、体重が一回り大きくなって帰国いたしました。今回の滞在は冬ということもあり、雪が積もった週末もありました。もし次の機会があれば夏に訪問して、休日にヴァージニア州の豊かな自然環境やアウトドアのアクティビティを体験してみたいです。

(込山 悠介)