オープンサイエンス推進のため、国立情報学研究所とCenter for Open Scienceが提携します(2025.04.16)


国立情報学研究所(NII)とCenter for Open Science(COS)は、オープンサイエンスのためのインフラ技術を共同で推進するためのMOU(Memorandum of understanding)を締結したことを発表しました。本提携では、学際的な研究の透明性と再現性を支援するためにCOSが開発した無料・オープンソースのプラットフォーム「Open Science Framework(OSF)」の共同開発と機能強化に焦点を当てています。
このパートナーシップの主要な目的は、OSFをもとに日本向けにカスタマイズした「GakuNin RDM (GRDM)」を活用し、研究データ基盤を構築することです。NIIは、OSFを技術的基盤とすることで、日本国内の大学や研究機関が国際的な標準に準拠して研究成果を管理・共有できる、堅牢なオープンソース・プラットフォームを提供することを目指します。
この目標を支援するため、NIIはOSFの機能拡張に関する開発と展開の専門知識を提供するとともに、それらの機能をGRDMに統合し、研究コミュニティのニーズに合わせ続けられるようにします。一方、COSはGRDMのアップグレードにおいて、技術的なガイダンスとレビューを行います。
「OSFおよびGakuNin RDMの影響力を高め、日本で高まりつつあるオープンリサーチを支援するためにNIIと提携できることを大変嬉しく思います。OSFの機能強化とGRDMを日本のニーズに合わせる取り組みを共に進めることで、透明性、協働性、そして再現性の高い研究を可能にする共通基盤を強化していきます。」COSのチーフ・プロダクト・オフィサーであるNici Pfeifferは述べています。
本提携は、共同開発のロードマップ共有、相互のコードレビュー、技術的な運用に関する知見交換などを含みます。連携と協力を強化するため、方向性やワークフロー、技術的アップデートを共有するための共同トレーニングやデモ、ワークショップを定期的に開催する予定です。
「OSFをベースに開発されたGakuNin RDMは、日本の170を超える大学や国立研究機関で研究データ管理のために利用されており、オープンサイエンスや科学技術政策において重要な研究データ基盤と位置づけられています。COSとのパートナーシップを通じて、NIIは日本におけるオープンサイエンスと研究データ管理(RDM)のための、安全で使いやすい共通基盤を、より効果的かつ持続可能な形で提供できると考えています。」とNIIのオープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)の副センター長である込山悠介准教授は述べています。
本パートナーシップは、グローバルな研究コミュニティの発展するニーズに応えるため、持続可能かつコミュニティ主導のインフラを国際的に協力して構築していくという共通のコミットメントを示しています。両組織はこの協調により、重複作業を削減し、相互運用性を向上させ、オープンリサーチ基盤におけるイノベーションを加速させることを目指します。