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A powerful tool for academic journals negotiations

デジタル時代の研究コミュニケーションを検討する国際会議FORCE11のワーキンググループから、「将来の学術情報流通交渉における研究者の権利宣言」が発表されました。これは、大学などが商業出版社と交渉する際の方針を明確にするための雛形となっており、学内の合意形成および、出版社への条件提示として利用できます。10の条項からなりますが、個々の大学やその他の交渉主体の事情に応じて改変、縮小、拡張が自由にできるようになっています。

この雛形は研究者のニーズ、つまり、学術を伸長させることを中心に据え、作成されたことに特徴があります。研究者は一般に、学術雑誌の契約交渉の場にはいないこともあり、そのニーズはこれまで、出版社との契約交渉において、限定的にしか反映されませんでした。しかし、学術雑誌は本質的に、研究活動をする際に利用されるので、その利用にあたっては本来、学術上のニーズが最大限反映される必要があります。このため、この雛形は「研究者の権利宣言」として作成されました。

この宣言には、研究者が、過去に出版されたものも含め、学術論文や関連のデータ、メタデータなどに自由にアクセスし、利活用する権利があること、研究者が経済的障壁なしに自分の望む媒体に自由に研究発表ができる権利があることなどが盛り込まれています。論文間の引用状況や論文の利用状況などのメタデータについて、(単なる研究評価のためとするのではなく)、これらが学術の発展の過程を示す情報で、研究活動を行う上で本質的に重要なデータであるということが第7条の解説としてユーザーガイドに記されている点も興味深いです。

この雛形は、カリフォルニア大学やMIT、OA2020などの出版社との交渉方針などを参考に作成されました。近年、OA出版契約において先進的な機関や国は、オープンアクセス(OA)に関わる目標等を組織目標として事前に設定し、出版社との交渉においては、この組織目標を達成することを第一の優先事項として交渉を進めています。この雛形は、同様のかたちで世界の大学や学会、国などに利用されることを期待して作成されました。

この「将来の学術情報流通交渉における研究者の権利宣言」にはユーザーガイドもあり、Q&A方式で利用方法が詳細に説明されています。また、各条項の解説も付されています。ぜひ参照の上、お役立て下さい。

なお、FORCE11(The Future of Research Communication and e-Scholarship)はデジタル時代の研究コミュニケーションを検討する国際的な会議体で、研究データに関連して「FAIR原則The FAIR Data Principles)」や「データ引用原則の共同宣言Joint Declaration of Data Citation Principles)」を打ち出した団体として知られています。

仮訳

原文

以下には、日本の学術機関向けに、本権利宣言の利用のメリットを解説しました。

転換契約と完全OA目標設定の相互作用

近年、学術雑誌の契約においては、OA出版契約(Read and Publish agreement, Publish and Read Agreement)、あるいは転換契約(transformative agreement)と呼ばれる契約形態が模索されるようになっています(以下、転換契約)。これは、1つの契約に ①学術雑誌の購読料と ②学術論文のOA出版に関わる費用(APC, Article Processing Charge)をまとめる契約形態で、世界の学術出版を完全にOAへと移行することを目的に締結されます。このため、契約期間中に世界の学術論文のOA比率が徐々に拡大し、それに伴い大学における ①購読分の負担が縮小し、②OA出版分の負担が拡大します。

転換契約の契約金額総額は、この契約形態が学術出版を完全にOAへと移行することを目的としているため、購読分のみを負担していた際の購読契約の契約金額と変わらない(cost neutral)とされていますが、実際には、事前に負担していた購読料とOA出版分のAPC負担の総和であったり、それ以上であったりするようです。しかし、全般的には転換契約により、学術雑誌に関わる費用は抑えられるとされています。

転換契約の考え方は、2020年までに学術雑誌の完全OAへの移行を目指すOA2020というイニシアティブにおいて初めて提案されました。OA2020は、マックスプランク研究所電子図書館(MPDL)が2015年に提唱した考え方で、日本の大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)および物性グループを含む、世界155機関が採択しています。しかし、OA2020は学術雑誌の高い購読料を不服とする学術機関中心の発案であったため、学術出版社に強制力を及ぼすことができず、転換契約のアイディアはなかなか日の目を見ませんでした。

一方、OA2020を含む、大学図書館業界による学術雑誌のOA化に向けた啓蒙・啓発活動が功を奏し、近年、各国政府や研究助成機関が学術出版のOA化を政策アジェンダとして掲げるようになりました。オランダやノルウェー、スイス、EUなどが自国の発表する研究成果の完全OA化を国家・地域目標として掲げています。その目的としては、学術雑誌の購読料縮小も一部にはありますが、むしろ、国内で生産された学術成果を世界からアクセス可能とし、国の研究力を顕示することや、公的資金で生産された学術成果について透明性を確保し、社会にその果実を還元することが主要な目的です。

2018年9月に提案され、2年半の検討プロセスを経て2021年1月に発効したプランSは、こうした世界における学術出版の完全OA化に向けた気運の高まりを受けて、欧州の研究助成機関が開始したイニシアティブです。現在、欧州を中心とする17ヶ国19研究助成機関や、EU、WHOなどの国際機関、ゲイツやウェルカムなどの民間財団が賛同しています。プランSは、助成した研究成果の完全OA出版を求めるだけでなく、学術論文が出版された直後から即時にOAとなることを求めており、非常に強硬であるとの印象を世界に与えています。学術論文のOAは、論文掲載料(APC)が負担されている場合を除き、一般には一定の猶予期間(エンバーゴ期間)を経て、OA化が可能となるからです。

OA2020が十分な変化を生まなかったのに対して、プランSは研究助成機関によるイニシアティブであったため、強制力を伴いました。研究助成を得た研究者は、研究成果を出版後即座にOAにしないと違反となってしまうのです。プランSは、助成した研究成果に対して完全即座OAを求め、研究者に対して、1)OA雑誌に出版する方法、2)購読誌へ出版後に、機関リポジトリに著者最終稿を公開する方法、3)転換契約下の購読誌にOA出版する方法を用意しました。出版社の立場からすると、プランSの購読誌に与える影響がビジネス上、被害が最も甚大で、購読誌を利用した方法のうち、2)の方法は学術雑誌運営の収入源が閉ざされ、最も好ましくない方法のため、3)の転換契約の方法が積極的に模索されるようになりました。

このように、プランSを契機として、学術雑誌の転換契約が大きく前進しだしました。本節の冒頭に述べたように、転換契約は購読料とAPCをセットで契約することで、大学における学術雑誌に関わる出費を抑えながら、学術出版のOA化を進める方法として考案されているので、大学にとっては望ましい契約形態です。一方、出版社にとって転換契約は、収入が完全に閉ざされる可能性の高い 2)の方法よりは望ましいものの、これまで可能であった購読料とAPCの2重取り(所謂、double dipping )を妨げる契約形態で、収入減を意味するため、あまり望ましい契約形態とは言えません。このため、出版社は転換契約には全般的に消極的で、どうしても転換契約を結ばざるを得ないプランSを採択した諸国を中心に、転換契約の締結を進めています(転換契約の登録サイト ESAC Transformative Agreement Registry の2021.10分析による。以下資料に、分析結果の一部を掲載)。

Funamori, M., "The pitfalls and unintended consequences of Plan S―A perspective from non-Plan S countries," 3rd Basel Sustainable Publishing Forum | Opening Access, 2021.10.25

日本における学術雑誌の契約の状況

日本の大学も、学術雑誌の購読料に悩まされています。アベノミクスの円安政策が進められてから、状況が特に厳しく感じられるようになりました。それ以前は、1985年のプラザ合意以降、円高が急速に進行し、学術雑誌購読料の上昇が相殺されていたため、学術雑誌の費用負担はそれほど深刻に感じられていませんでした。

これに対して欧米諸国は、その間も学術雑誌購読料の絶え間ない上昇に悩まされていました。このため、この問題を、ちょうど出現したインターネットの力を借り、学術雑誌をOAとすることで解決することを考案しました。この方向性が正式に打ち出されたブダペストOAイニシアティブ(BOAI)が来年2月で20周年を迎えることからも見られるように、欧米諸国のOAにむけた取り組みには歴史があります。そのような歴史が、OA2020プランSなどの強硬なイニシアティブを生み出していると言っても過言ではありません。

このような歴史的背景から、日本は、世界のOAやオープンサイエンスに向けた潮流には同調しつつも、これを通じて学術出版社と直接対決をするという覚悟が、大学側にも、政府や研究助成機関側においても希薄です。プランSも日本の研究助成機関において採択されていません。OA2020はJUSTICEにおいて採択されているものの、OA出版契約(転換契約)をパイロットで試してみるという目標に留まり、これを全面的に推し進めるには至っていません。

このような状況の下、日本では引き続き、購読契約が出版社との契約形態の主流です。購読料の毎年の上昇にも引き続き悩まされ続けています。JUSTICEからは出版社に対して転換契約の提案を求めていますが、転換契約を出版社の戦略として強力に推し進めているケンブリッジ大学出版(CUP)以外の出版社からの反応は鈍いと聞きます。エルゼビア社はOA出版部分を含む契約提案をしていますが、これは一定の費用負担によりAPCのディスカウントを得ることができるというもので、購読料とAPC負担を一つの契約にまとめる、所謂「転換契約」とは異なります。

エルゼビア・ジャパン株式会社 プレスリリース「エルゼビアと大学図書館コンソーシアム連合、オープンアクセスの目標を支援するための購読契約提案に合意」(2020.11.18)

一方、世界的にはAPCの上昇が見られます。以下のモリソン他(2021)の分析によると、学術雑誌の課すAPCの分布のピークは、2010年では1,801〜2,000ドルであったのに対し、2019年には2,001〜2,200ドルへと上昇しています。また、プランSに触発されて、ネイチャー誌やセル誌などのトップ学術雑誌が、100万円を超える法外なAPCを要求するようになったことは、よく知られるところです。このような額になるともはや、研究者の一般的な研究費で負担できる額ではありません。

Morrison, H., Borges, L., Zhao, X., Kakou, T.L., Shanbhoug, A.M. (2021).
Open access article processing charges 2020 - 2021. Preprint. Sustaining the Knowledge Commons.

mihoチャネル「ネイチャー誌は120万円、セル誌は110万円、サイエンス誌は?」(2021.1.21)

国内の研究大学からは「購読料だけでなく、近年ではAPCも上昇し、論文を読むことも、書くこともできなくなりつつある」という悲鳴が聞かれます。研究者からは大学に対してAPCの補助を求める声が強まっていますが、大学としては購読料だけでも負担不能になりつつあるというのに、学術雑誌に関わる限定的な予算からでは無い袖はふれず、また、学術雑誌以外の別財源からAPCを補填することは、出版社の購読料とAPCの2重取りを助長させることになるため、可能な限り防ぎたいところです。

しかしそれでも、国からはハイインパクトの学術雑誌への論文発表を求められ、そうしたハイインパクトの学術雑誌は一般にAPCも比例して高く、大学はジレンマに陥っています。世界の学術機関は、このようなジレンマから逃れるためにも、「研究評価のためのサンフランシスコ宣言(DORA)」を採択し、学術雑誌のインパクトファクターとは独立して個々の論文の質を評価すると宣言していますが、日本はまだその域に達していないようです。

研究評価のためのサンフランシスコ宣言(DORA)」 (Last accessed 2021.11.3)

購読料とAPC双方の上昇から逃れるためには、転換契約を結ぶことが次善の策なのですが、出版社がこれに応じてくれないことには始まりません。日本の研究助成機関がプランSに賛同してくれれば、出版社への強制力が働き、転換契約の道が開くのですが、今のままではどうにもなりません。どうすれば良いのでしょう?

大学としての交渉方針を有する米国の大学

米国の研究助成機関もプランSには賛同しておらず、米国の大学は日本と同じく、購読料とAPC双方の上昇に悩まされています。学術のOA化に向けたアドボカシー団体SPARCのまとめる、出版社との大型購読契約(所謂ビッグディール)のキャンセル事例のリストをみると、2020〜21年にかけても引き続き、著名研究大学による出版社との購読契約キャンセルが相次いでいます。特にエルゼビア社とのキャンセルが目立ちます。

SPARC, Big Deal Cancellation Tracking (Last accessed 2021.11.3)

一方、ESACの転換契約登録サイトをみると、米国であってもカリフォルニア大学やアイオワ州立大学などは、複数の転換契約を締結していることが確認されます。また、サイトへの登録はされていないものの、MITも英国王立化学会(RSC)や計算機協会(ACM)などと転換契約を締結していることが知られています。(アイオワ州立大学はおそらく交渉担当者の力量の賜物ですが)、カリフォルニア大学およびMITについては、大学としての出版交渉方針を事前に取りまとめ、公表し、これに基づいて出版社との交渉を行ったことが転換契約に結びついていると考えられます。出版社に対して大学の優先順位を明確に示し、この方針から外れた場合は、大学執行部の意図から外れるため契約締結ができない、と強く出ることができるのです。

カリフォルニア大学の交渉方針は、論文出版後の即時のOA出版を目指すことと、コスト削減を最優先事項とすることを中心に記述しており、OA比率の拡大と、購読料とAPCの負担総額が抑えられる転換契約を強く支持する内容になっています。一方、MITの交渉方針は、研究者の論文の著作権等の保持や、論文情報のコンピュータ解析可能性を中心に記述され、少し趣を異とします。実際、MITはカリフォルニア大学とエルゼビア社との転換契約について否定的な見解を示すなど、購読料の負担をAPCに転化する転換契約には疑問を抱いています。学術論文を発表する自由は、論文を読むことの自由と同程度に担保されなければいけないとしています。

<カリフォルニア大学交渉方針>
UCOLASC, Declaration of Rights and Principles to Transform Scholarly Communication (Last accessed 2021.11.3)
mihoチャネル「カリフォルニア大学、学術雑誌の価格交渉方針の転換に関する行動計画を発表」(2018.7.3)

<MIT交渉方針>
MIT, MIT Framework for Publisher Contracts (Last accessed 2021.11.3)
mihoチャネル「カリフォルニア大学、エルゼビア社との転換契約を発表」(2021.3.25)

このように、両大学の策定した交渉方針は異なるものの、出版社に対して大学の方針を盾に、強い立場で交渉を進めることができるという意味では同じ効果を持ち、ある意味、プランSが大学における出版交渉に与える強制力と同様の作用を及ぼします。

日本の研究助成機関がプランSを採択しないのであれば、日本の大学は少なくとも大学レベルにおいて、なんらかの交渉方針を掲げ、出版社との交渉に挑むことはできないのでしょうか。全学および大学執行部の賛同を得た交渉方針は、出版社に対する強い交渉カードになるに違いありません。

FORCE11の「研究者の権利宣言」を利用する

「大学としての交渉方針を持てば、出版社に対して強く出られる。しかし、大学としての交渉方針を明確にするのは容易ではない」という大学のニーズに応えるために策定されたのが、FORCE11のワーキンググループからこのたび発表された「将来の学術情報流通交渉における研究者の権利宣言」です。実際、この権利宣言はカリフォルニア大学やMITの交渉方針、OA2020などを含む、完全OA目標を掲げるいくつかの文書を参考に、作成されました(詳細は、ユーザーガイドQ&Aを参照のこと)。

この権利宣言の10の条項から、転換契約の勘所を理解することができます。また、条項の1つ1つを吟味し、学内の合意を得る過程で、自大学の特徴や優先事項を確認することができます。この権利宣言は、複数の文書の良いとこ取りをしているため、10の条項全てを採択した場合は、世界にない先進的なOA出版契約が締結することができます。しかし、それが少し勇み足に感じられる場合は、カリフォルニア大学やMITの交渉方針にスケールダウンした交渉方針を考えることもできます。

たとえば第7条は、論文間の引用状況や論文の利用状況などのメタデータを利用して、効率的に研究領域の動向を読み取る近未来の学術活動のあり方を想定した、MITの交渉方針をベースとした記述ですが、自大学の交渉方針では、そこまでは踏み込まないということもあり得ます(ただし、文献検索サービスCiNiiを運営する国立情報学研究所としては、日本の研究成果の検索可能性を向上させるために、残して欲しい条項です)。

また、この権利宣言は、論文等の学術成果にアクセスする権利(第1条)とともに、研究成果を経済的障壁なしに発表する権利(第9条)も保証しています。つまり、研究者の論文の読み書き双方の自由を強く求める、相当に強い内容となっています。カリフォルニア大学は「購読料とAPCの重複支払いは認めない」という表現に留め、MITは「コストに応じた透明性ある価格設定モデルに基づく、正当かつ持続可能な対価を支払う」としています。この権利宣言も、「 "研究者が" 経済的障壁なしに発表できる権利」を有するのであって、"大学あるいは研究助成機関等が" 論文発表に関わる対価を全く負担しないとしているわけではないので、第9条は残しても良いと考えることもできますが、第9条を残す場合は、「大学は、購読料とAPCの重複支払いとならない範囲で、正当かつ持続可能な対価を支払う」という条項を加えても良いのかもしれません。

いずれにしても、大学がこの権利宣言の雛型を利用して、大学の交渉方針を明確にすることが大事です。そのための議論を通じて、全学的な認識のすり合わせをすることができます。また、大学としての交渉方針を掲げることを通じて、購読料とAPC双方の支出増大を抑えることができます。同時に、OAで出版される大学の研究成果が拡大するため、大学の研究のヴィジビリティと研究力を世界にアピールすることが可能となります。近年では、OA出版されていない研究成果は読まれないほどの状況となっているので、大学の研究成果のOA比率向上は、大学の生産する研究成果が世界に認知される上で、喫緊の課題です。

同様のことは、国レベルについても言うことができます。国家としての100%OAに向けた目標設定や、購読料とAPCの2重取りは許さないことの方針、論文の利用状況などのメタデータを利用した効率的な学術成果の検索サービス実現の方針などを国家目標として打ち出すことができれば、国の研究力向上とともに、学術出版に関わる支出削減に繋げることができます。

実際、エルゼビア社が初めて転換契約に応じたノルウェーの交渉担当者に以前、インタビューした際、ノルウェーが建てた「2024年までに完全OA実現」の国家目標と、その国家目標に基づいてノルウェー大学協会(UHR)が作成した「交渉方針サポートのレター」が大きな力になったと言っていました。交渉方針サポートのレターには、①即座完全OAの方針、②転換契約の契約額がそれまでの購読契約の契約額を上回らないこと、③学長あるいは研究担当副学長級が交渉に加わること、④建設的な交渉を望むものの、これまでの購読契約が持続可能ではないと認識しており、このレターに掲げた条件が満たされない場合は、契約締結を保留する可能性などが示されています。

Norway, National goals and guidelines for open access to research articles (2017.8.22)

Universities Norway, Expression of support for a common negotiating strategy for open access to research articles (2018.7.4)

FORCE11のワーキンググループの発表した「将来の学術情報流通交渉における研究者の権利宣言」は、国、学会、大学の完全OA実現に向けた条件を明確にするための雛形です。これが有効に活用され、日本の研究力が強化されることを切に願います。デジタル時代において、研究成果がOAで発信されることは基本ですし、現在のような、論文の読み書きが滞るような状況では、国家として研究力強化を掲げることすらできないことを認識し、対応策を喫緊に打ち出す必要があります。

船守美穂