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The different perceptions on higher education between Republicans and Democrats
ピュー研究センターが先月発表した、共和党と民主党の高等教育の見方の違いに関する衝撃的な事実について、ギャラップ(世論調査会社)がその背景となる理由についてアンケート調査し、その結果を発表しました。
まずビュー研究センターの調査では、これまでの毎年の調査において共和党・民主党いずれにおいても、「高等教育の(社会への)影響」について「良い影響がある」と考える者の方が「悪い影響がある」と考えるものより多かったのに対して、2017年調査では初めて、共和党において、「高等教育は悪い影響がある」(58%)が「良い影響がある」(36%)を上回りました。なお民主党においては「良い影響がある」が過去から上昇傾向にあり本年は72%で、「悪い影響がある」(19%)を大きく上回っています。
以下リンクのグラフは、衝撃的です。
しかも共和党においては、年齢が高くなるほど、また年収が多くなるほど、高等教育に否定的な見方をしています。
「高等教育は良い影響がある」とするものは、共和党の18-29才は52%いるのに対して、50-64才は29%しかいません。同様に、共和党で年収3.0万ドル以下の層の46%が高等教育に肯定的なのに対して、年収7.5万ドル以上の層では31%しか高等教育を肯定していません。
なお民主党では、年収が高くなるほど高等教育を肯定する率が高くなります。
これについても以下リンクの下方にグラフがあります。
[Inside Higher Ed] (2017.7.11)
Deep Partisan Divide on Higher Education
ギャラップではまず、高等教育への信頼度について調査をし、ピュー研究センターと同様の結果を得ています。
■高等教育をあなたはどの程度信頼していますか?
How Much Confidence Do You Have in Higher Education?
とても/概ね | 少し/僅少 | |
---|---|---|
全数 | 44% | 56% |
共和党(or共和党寄り) | 33% | 67% |
民主党(or民主党寄り) | 56% | 43% |
次に、高等教育をあまり信頼していない回答していた人たちに、その理由を聞いたところ、共和党からは「リベラル/政治的すぎる」(32%)という、高等教育の政治的側面に意見が集中したのに対して、民主党からは「(教育費が)高すぎる」(36%)という現実的な課題が理由として挙げられました。
■高等教育をあなたがあまり信頼していない理由は何ですか?
What Are Some of the Reasons You Do Not Have a Lot of Confidence in Higher Education?
共和党 (or共和党寄り) |
民主党 (or民主党寄り) |
|
---|---|---|
(教育費が)高すぎる | 11% | 36% |
リベラル/政治的すぎる | 32% | 1% |
学生が自分で行動を起こすことを許さない | 21% | 6% |
学生は適切な教育を受けていない/ 教育は(社会に)あまり関係ない |
13% | 9% |
リーダーシップの欠如/運営がよくない | 9% | 14% |
卒業しても職が見つからない | 7% | 10% |
全般的な質の低下 | 4% | 11% |
教育へのフォーカスが少ない/ スポーツ重視すぎる |
2% | 5% |
教授やその他雇用者の質が低い | 4% | 2% |
教育を受けるのが簡単すぎ/ 学生は真剣みがない |
3% | 2% |
次に、高等教育を信頼していると回答した人たちに、その理由を聞いたところ、共和党からは、「自身の経験/家族または自分が大卒/大学被雇用者」(32%)に意見が集中したのに対して、民主党では、「自身の経験/家族または自分が大卒/大学被雇用者」(24%)、「学生は良く教育され、良い仕事をする」(20%)、「高等教育は国にとって必要」(17%)が上位にあがりました。
■高等教育をあなたが信頼している理由は何ですか?
What Are Some Reasons Why You Have a Lot of Confidence in Colleges and Universities?
共和党 (or共和党寄り) |
民主党 (or民主党寄り) |
|
---|---|---|
自身の経験 / 家族または自分が大卒 / 大学被雇用者 | 32% | 24% |
高等教育は国にとって必要 | 16% | 17% |
学生は良く教育され、良い仕事をする | 12% | 20% |
米国の高等教育は先進的で、 世界のなかでも優れている |
9% | 10% |
よりよい職を得るには学位が必要 | 15% | 6% |
学生を実世界に向けて準備する / 前進させる | 7% | 9% |
オープンマインドとなるように学生を教育する/ 他者の考えを受け入れ、多様性への理解を示す |
5% | 7% |
教授/講師/執行部が優れている | 2% | 6% |
自分の頭で考えるように学生を教育する | 2% | 5% |
共和党は以前から高等教育がリベラルすぎるとみており、これら結果はその嫌悪感が強まっていることを示しています。共和党がホワイトハウスや上院・下院をコントロールし、また34州の州知事が共和党であることを考えると、これは高等教育への予算配分等において将来、影響を及ぼす可能性があります。
[Inside Higher Ed] (2017.8.17)
Why Republicans Don't Trust Higher Ed
・・・なかなか激しいですねえ。。。「高等教育は悪い影響がある(negative impact)」と積極的に回答する人が、共和党では7割もいるとは・・・・! ギャラップ調査で「高等教育を信頼していない」と回答する人は共和党において同様に7割いるので、この調査結果は概ね現実を反映しているのでしょう。
しかも理由として、「リベラルすぎる」(32%)という政治的な理由が上位に上がっています。そのわりに第2位の理由として「学生が自分で行動を起こすことを許さない(Not allowing students to think for themselves, pushing an agenda)」(21%)が挙がっており、これはなんなのでしょうね? 大人の大学教員は勝手な行動ばかりしている割に、学生は締め付けているということなのでしょうか?
「学生は適切な教育を受けていない/教育は(社会に)あまり関係ない」(13%)が第3位に挙がっており、いずれにしても共和党は大学教育の効用について否定的であると理解されます。
ギャラップ調査の記事では、アンケートにおいて「大学(universities and colleges)」という一般的な表現が用いらていれたため、(より実社会に関係のある)コミュニティカレッジや専門職に結びつく高等教育プログラムなどが回答者においてイメージされなかった可能性が、指摘されています。
しかし共和党のリベラル嫌いは顕著のため、ギャラップ高等教育担当のBrandon H. Busteed氏は、この調査は高等教育への警鐘であり、高等教育は社会における見られ方をより考え、振る舞った方が良いとしています。
特に高等教育のブランディングについて、「リベラルアーツ」という、「(政治的色彩のある)リベラル」と「(役に立たない代表の)アーツ」を合わせて用いることは壊滅的(branding disaster)で、やめた方が良いと指摘しています。
「リベラルアーツ」が「政治的にリベラル」と無関係であると主張しても、その声は届かず、ムダな抵抗なので、別の名前を考えた方が良いそうです。(^_^;)
実際、スタンフォードおよびバージニア大学の教員2名が、低所得家庭出身の優秀な高校生を対象に2015年に行った調査によると、「リベラルアーツ・カレッジに願書を出さない理由」について、「(リベラルアーツカレッジを)知らない」「意味の無いことは学びたくない」「私はリベラルではない」といった回答が寄せられたそうです。
「リベラル」というのは共和党にとってはおそらく「反社会性」がイメージされているのでしょうけど、一方で先週末、バージニア大学キャンパスで白人至上主義者がたいまつをもって行進し、翌日にはそれに対する反対デモにトラックが突っ込み死傷者が出ており、大学側からみると、共和党側の白人至上主義者たちの方が遙かに「反社会的」ですよね。
政治思想はとりあえず横においておいて、まず反社会的な行為を控えるということはできないのでしょうか。そのためにはでもまず、反社会的行為とは何なのかについて、共通の理解が形成される必要があるのでしょうけど・・・。
船守美穂
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