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Univeristy of California to cap enrollment of out-of-state students at 20%

カリフォルニア大学システムにおいて、州外学生(留学生含む)を2割以内に抑えることが大学執行部から提案されています。

昨年、同大学システムの10のキャンパスにおける州外学生は3.5万人で、全体の16.5%となりました。
これら州外学生よる収入は、5.5億ドルに上りました。
しかし議会からは、これにより州内学生の入学が制限されているとの指摘があり、これへの改善がなされない場合は1850万ドルを差し止めるとの勧告がなされていました。

現在州外学生は、UCバークレーが22.9%、UCサンディエゴが22.9%、UCLAが22.8%で、その他のキャンパスは1%のみのUC Mercedから、18.9%のUC Irvineまで幅があります。
これら上位3校については、その比率を維持することが許され、残りのキャンパスについては2割までは拡大しても良いとしています。

[Los Angeles Times] (2017.3.6)
UC proposes its first enrollment cap -- 20% -- on out-of-state students

[Mercury News] (2017.3.7)
University of California proposes first enrollment cap on out-of-state students

カリフォルニア大学は長いこと州外学生は3%にとどめていました。ここで州外学生とは留学生も含みます。
州立大学として、カリフォルニア住民を優先する必要がある、という考え方のもとでこのルールが原則となっていました。
しかし2007年にリーマンショックがあり、州政府からの運営費交付金が毎年10%規模で削減されると(現在UCバークレーは運営費交付金は全体収入の確か6%程度)、そのようなことは言っていられなくなり、授業料の値上げと、州外学生比率を上げるということがなされました。

米国では、州内学生と州外学生とでは授業料が約3倍異なり、たとえばUCバークレーでは州内学生は年間1.4万ドル、州外学生はこれに加えて2.7万ドル、つまり計4.1万ドルを授業料として支払います(その他に、教材費や下宿代等が発生します)。
州外学生比率が多いほど、大学としての収入は増やすことができ、また州外学生からの収入で、州内学生向けの奨学金等をまかなっているという構造が現在では出来てきてしまっているので、州外学生を減らすことは簡単ではありません。

一方、カリフォルニアの住民については、自分たちの税金で運営している大学なのだから、自分たちの子供を優先して入れて欲しい! 州外学生のために、第1~3希望に入れず、カリフォルニア大学の10キャンパスのうち第4位のランク下の大学に行かされるのは不合理! と思うのは、人情です。

といっても、実際には州政府からの収入はがかつかつなので、州民の理屈をそれほど強く言われても困る・・・、というのが大学側の反応ではあります。
そのような訳で、大学のスポークスマンは今回の発表において、この20%の州外学生というのは、学生の多様性の拡大や優秀な学生を受け入れるため、そして収入維持のためと言っています。同時に、カリフォルニア住民の入学者数も絶対数の上では拡大し、州外学生は、州内学生の数を減らすというかたちではなく、これに上乗せするかたちで受け入れると言っています。

・・・東大にいた身からすると、似たような議論がなされていたと感じます。しかも日本の国立大学の学部段階においては、留学生は内数で計算することになっているので、国内学生を本当に圧迫してしまいます。ただし日本の場合、国内学生と留学生とで授業料は違わないので、収入面での議論にはなりません。

なお以上の議論、学部教育についてですので、大学院についてはまた別の議論がなされていることにご留意ください。またカリフォルニアは場所がよく、人口が集中しているため、このような議論となっていますが、米国の研究型大学の連合(AAU)の加盟校の平均州外学生比率は27.9%で、カリフォルニアより高くなっています。

船守美穂