English

Gates Foundation gives $279 million to University of Washington to Track Global Health

ゲイツ財団が2.79億ドルの寄付を、ワシントン大学にInstitute for Health Metrics and Evaluation(IHME)に対して行いました。
IHMEは10年前にゲイツ財団から1.05億ドルを得て設立され、当時、この助成はワシントン大学の歴史で最大の寄付と喧伝されました。
ここの記録は3ヶ月前、IHMEの建物および同大学の国際保健専攻を設立するたにのゲイツ財団からの寄付2.10億ドルで塗り替えられましたが、これが今回の2.79億ドルで更に塗り替えられました。
ワシントン大学はゲイツ財団から計12.5億ドルを過去20年間で得ており、これにゲイツが創設したマイクロソフト社からの1億ドルがさらに加わります。

ゲイツ財団とワシントン大学は同じシアトルに在し、ゲイツ財団はIHME以外にも、AIDSや自閉症、結核の研究、奨学金プログラムやマーチングバンドにまで、助成しています。
その地理的な近さがこのような蜜月関係を生んだとも言えますが、ワシントン大学はビル・ゲイツの父・母・姉妹の母校でもあり、彼らが同大学の理事(board of regent)ともなっていることも関係しています。

IHMEは、保健衛生に関わる指標の設定や計測、評価手法等を開発する研究所です。ゲイツ財団はグローバルに保健医療に助成することで知られていますが、当初現地における医療や疾患等に関わる情報が錯綜し、的確な助成ができないことにフラストレーションを感じていました。
Christopher Murray博士は、これに対応できる手法を開発していました。疾病により亡くなった人数だけでなく、保健や生産性の推測手法を開発していました。Murray博士はハーバード大学にてこれに関わる研究所を設立しようとしましたが、断られたため、ゲイツ財団の誘いにのり、ワシントン大学にきてこの研究所を設立しました。そのようにして引き抜かれた研究者は、その他数名います。

IHMEは3名から始まりましたが、現在は300名以上、今回の寄付によりスタッフは約500名となる予定です。
IHMEとゲイツ財団の独りよがりの数字とならないよう、国際的なネットワークを形成し、130カ国2100名と連携し、正確な指標の推定を行っています。また国際的な諮問委員会も設けています。

[The Seattle Times] (2017.1.25)
Historic gift: Gates Foundation gives $279 million to University of Washington

[Chronicle of Philanthropy] (2017.1.25)
Gates Awards $279 Million to U. of Washington to Track Global Health

なかなかすごいですね。先日UCSFへのバイオメディカルへの寄付5億ドルをレポートしましたが、それには及ばないものの、それまでのIHMEへのゲイツ財団の寄付を考えると、これを上回り、寄付合戦になっているような感がします。
トランプ政権になり、税制が変わる可能性も指摘されており、その前にといった煽りもあるのかもしれません。

IHMEは国際保健分野の研究所とはいえ、試験管で実験等をしているのではなく、ひたすらデータや指標、それらのヴィジュアライゼーションに特化しています。それが300名や500名規模で一つの分野でやっているというのは恐るべきですね。このような研究所には、どのように立ち向かえばよいのか・・・。
協力体制を組んで、少しでもゲイツ財団からの恩恵に被るしかないのかもしれませんね。(^_^;)

船守美穂