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Gender equity or sexism?
博士論文審査パネルにおいて最低1名の女性の審査委員が必要であるという英・グラスゴー大学の新規定が、シニアな女性の研究者に対して「評価されない学術的家事(unrewarded academic housework)」を押しつけるものであるとの批判を浴びています。
グラズゴー大学のこの規定は、一方では博士論文審査におけるジェンダーバランスを改善するものとして称賛を受けていますが、英国において女性で教授職にあるものは全体の1/4弱であるため、この新たな規定は、シニアな女性教員に過度の負荷をかけるものであると、一部の教員に受け止められています。
グラズゴー大学刑法のFiona Leverick教授がツイートした内容が特に反響を呼んでいます。
「このような仕事は、業務負荷において認識されておらず、また昇進などにおいても評価されません。今回の例は、女性教員であるという理由だけで担当することを求められる、数あるサービス業務の一例に過ぎません。たとえば、教員採用などの委員会も、ジェンダーバランスを確保することを目的として、担当することを求められます。メンターとなったり、管理的な役割を担うことも同様です」。
「このようなサービス業務をジェンダーバランスの名目でわれわれ女性教員はこなしていますが、その間、男性の教員はその時間を、周囲に認識され評価される仕事に充てることができます」。
「ジェンダーバランスを確保することは重要であると思いますが、これは少数派の女性に過度の負荷をかけるものであり、正しいやり方であるとは思えません」。
シェフィールド・ハラム大学でジェンダーと高等教育を専門とするCarol Taylor教授は、「女性が学術的家事をすることは・・・やめさせなければならない」としています。
しかし一方では、博士論文審査において女性の審査員がいた方が安心を感じる女性が、自分からはそのようには言い出しづらいため、このような規定を、単に女性教員への負荷の観点から批判するのはどうか、とする声もあります。
大学当局は、博士論文審査と関わらず、あらゆる場面においてジェンダーバランスを解消していきたいとしています。しかし、こうした業務負荷が認識され、業務負荷が全教職員において馴らされることも大事としています。
[Inside Higher Ed] (2018.10.18)
Promoting Gender Equity or Sexism?
どこでも同じ議論ですねえ。東大でも女性教員から同じような不満を聞いたことがあります。ちなみに日本の女性教授等の比率は約2割。しかし国立大学に限定すると13%程度になり、英国より状況は悪くなります。
一方で、欧米では女性もしっかりと発言をしているという印象があるので、数の上では少なくても、必要な主張はできているのかと思っていたのですが、先日行った国際会議では、女性にもできるだけ発言の機会があるよう配慮の旨、会議の冒頭で事務局からアナウンスがありました。実際、質疑応答の場面になると質問をしているのは男性ばかり・・・。女性が企画実施したワークショップでは、女性の参加者が多く、また女性からの発言も多かったので、女性が控えめになりがちというのは日本だけの現象ではないようです。そういう意味では、女性が博士論文の審査員にいると安心するというのも納得しないではありません。個人的には無理に女性を引き立てるのは好きではないのですが。
この国際会議の後に少数で飲みに行ったのですが、そこで「僕はalpha manにならないように気をつけている」と主張している人がいました。"Alpha man"とは何か聞いてみたところ、「会を仕切って、発言しまくる男性。多くの場合、自分がalpha manであることすらも気がついていない」と説明していました。
辞書で調べてみたところ、("alpha man"ではなく"alpha male"でしたが)、「群れを支配する雄」「〔男性の〕指導者、支配者、ボス」というものだそうです。面白い表現だと思った次第ですが、それにしてもこの男性、自分はalpha manにはならないよう配慮していると言いつつ、ベラベラとしゃべりまくって、場を支配していました・・・。まあそれでも、私が意見を言えた数少ない機会においては一生懸命傾聴してくれていたので、一応心がけしていただいていたのは認めますがね・・・。
船守美穂
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