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Foreign language enrollments drop sharply at US universities

米国大学において外国語を履修する学生数が2013-16年にかけて9.2%減少しました。これは、Modern Language Association(MLA, 米国現代語文学協会)が統計をとりだした1958年から、二番目に大きな減少幅です。
外国語履修者数は、継続的に伸びていましたが2009年をピークに、2009-13年で6.7%減少し、2013-16年で更に9.2%減少しました。外国語履修者数は2016年現在は142万人で、ピーク時の2009年の168万人から15%減少しています。

語学別にみると、2009年に最も専攻されていたトップ5の西欧圏の言語(但し4番目の手話(-2.3%)除く)が、特に大幅な減少を記録しています。2013-16年で、1) スペイン語(-9.8%)、2)フランス語(-11.1%)、3)ドイツ語(-7.1%)、5)イタリア語(-20.1%)です。
トップ15の言語の履修者数が軒並み減少を見せるなか、成長を見せたのは日本語(3.1%、6.9万人)、韓国語(13.7%、1.4万人)のみです。日本語はこの成長でイタリア語を抜き、米国で最も履修されている言語の第5位となりました。なお、中国語は現在第7位ですが、2013-16年にかけて大幅な減少を見せています(-13.1%、5.3万人)。

米国の全学生に対する外国語履修者の割合は、1965年の16.5%をピークに、1980年の7.3%まで大幅に減少し、その後2006年の9.1%にかけて緩やかに上昇しましたが、その後減少し、2016年現在は7.5%です。
MLAは、近年の外国語履修者の急速な減少にも警鐘をならしています。

近年、外国語教育科目は、十分な基金のない私立大学や、運営費交付金が不足がちな州立大学において、経費削減のターゲットとなっています。

[Inside Higher Ed] (2018.3.7)
Foreign Language Enrollments Drop Sharply

英語がグローバルな言語としての地位を確立するなか、米国の学生には外国語を学ぶ意味が見つからないのでしょうね。日本語と韓国語が過去3年で伸びているのはその意味で、純粋に好奇心からと思われるので、底力というかブランド力を感じます。実際、欧米の大学の日本語教育関係者に、世界的な日本語学習者数の減少の懸念を指摘すると、「大学経営の観点からの開講講座数の減少はあるものの、日本語学習希望者は多く、開講している講座数が追いつかない」といったコメントを得ることが多いです。

ただし日本語については、2013-16年にかけては確かに3.1%伸びていますが、その前の2009-13年には7.7%減少しており、2009-16年を通じてみると5%減なので、そう喜んでもいられません。
実際、2009-16年を通じてみた場合、トップ15の言語で伸びているのは韓国語の64%増のみで、それ以外の言語は減少しています。日本語も、米国大学生の外国語離れの全体的な傾向の影響から逃れられていないということでしょう。

船守美穂