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US 'anti-science' education bills get sophisticated
フロリダ州で、住民の声により公教育における教育内容を変えることのできる法案が5/5に可決されました。
インディアナ州とアラバマ州では既に、教師が「学問の自由(academic freedom)」を行使し、進化論や気候変動にかかわる多様な見方を教えることのできる、拘束力は持たない法案が承認されています。その他オクラホマ州とサウスダコタ州においても今年に入り、同様の「学問の自由」の法案が提出されています。
米国では初等中等教育における科学教育、特に進化論および気候変動を教育するか否かについて、長年意見が対立しており、2000年以降、複数の州で「アンチ進化論法」や「アンチ進化論&アンチ気候変動法」などが提出されていました(この記事の棒グラフはインパクトあります)。
これらは公教育における所謂「学問の自由」法案と呼ばれ、生徒に天地創造説などを教えることを可能とするとともに、科学に対する対立する意見を教え、それを批判的に捉える教育をすることも可能としていますが、これらは提出されても可決に至らないことが多く、現在3州においてのみ施行されています。
これに対して今回のフロリダ州の、住民の声により教育内容を変えることができるという法案は、こうした進化論や気候変動に対する見方という論点を切り離した法案となっており、法案が通過しやすくなっていました。
実際、これを推進したByron Donalds代議士も、「これはアンチ科学ではない。これは公教育において子供達が何を学ぶか、家庭が物を申し、責任を持つことができるようにするための法案である」と述べています。
一方、このフロリダ州において同法案を推進したのは、進化論や気候変動に対して否定的な見方をする人々のため、この法律を梃子に、これらが公教育で教育されないように運動するだろうと、国立科学教育センター(NCSE)のGlenn Branch副センター長は指摘しています。
今回可決したフロリダ州の法では、住民から公教育に対して意見が提出された場合、公聴会(public hearing)を行い、教育内容や教材の「正確性、バランス、非扇動的、現代的、非わいせつ・・・で、学生のニーズに応えているか」を判断するとしています。しかし、「誰の考えでどのように、教育内容の正確性やバランスを決めるのかが問題である」とBranch氏は指摘しています。
米国では、トランプ政権の影響か、11の州で科学教育のスタンダードを変更する法案が今年に入り提出されており、またフロリダ州の事例のようにアンチ科学教育派の手法が洗練されてきていることもあり、アンチ科学教育が進む可能性があります。
[Nature] (2017.5.12)
Revamped 'anti-science' education bills in United States find success
米国の公教育で進化論と天地創造説とが対立していることは知っていましたが、このように「法案」というかたちで戦っていたのですねえ・・・。
またアンチ科学教育派がこうした運動を繰り広げると、アカデミアも対抗して運動をしなくてはならず、2013年3月に、15年ぶりの全米の科学教育の改訂となる、米国研究評議会(NRC)のレコメンデーションに基づく「次世代科学スタンダード(Next Generation Science Standards)」が26の州で導入の見通しとなったときは、アカデミア側に歓喜の声が上がっています。(上のリンク記事)
科学というのは、(このように運動をしなくても)客観的なものなのだと思っていたのですが、4月に世界的に行われたMarch for Scienceも含め、科学やアカデミアの正当性を主張し、通していかなければいけない時代となっているようですね。
船守美穂
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