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WILEY survey on research data sharing practices

2014年の調査ということで、少しデータが古いですが、WILEYが研究者を対象として行った、研究データ共有に関する調査において、少し面白い結果が出ているので紹介します。特に最後の国別分析が面白いです。
(調査対象9万名、回答者2886名(回答率3.2%))

■ 研究データ共有率

  1. ドイツ(55%)
  2. ブラジル(52%)
  3. アメリカ(46%)
  4. 日本(44%)
  5. イギリス(43%)
  6. オーストラリア(41%)
  7. 中国(36%)

■ 研究データ共有の方法

  1. 学術雑誌のサプルメント(67%)
  2. ウェブページ(個人・機関・プロジェクト)(37%)
  3. 機関のデータリポジトリ(26%)
  4. 分野別データリポジトリ(19%)
  5. 一般的データリポジトリ(Dryad, figshareなど)(6%)
  6. その他(5%)

■ 研究データを共有する理由

  1. 自分の分野の慣習(standard practice)(57%)
  2. 自分の研究のインパクトとヴィジビリティー向上(55%)
  3. 公的利益(50%)
  4. 学術雑誌の条件(42%)
  5. 透明性と利活用(37%)
  6. リクエストする人への個人的信頼(30%)
  7. 発見とアクセスしやすさ(25%)
  8. 助成機関の条件(23%)
  9. 機関の条件(18%)
  10. 情報公開(13%)
  11. 保存(13%)
  12. その他(2%)

■ 研究データ共有を躊躇う理由

  1. 著作権と守秘義務(42%)
  2. 助成機関や機関が共有を義務化していない(36%)
  3. 研究機密の流出(26%)
  4. 誤解釈、誤用の恐れ(26%)
  5. 倫理的問題(23%)
  6. 適切な引用や評価を得られない恐れ(22%)
  7. どこでデータ共有をしてよいのか分からない(21%)
  8. 時間、リソースの不足(20%)
  9. データ共有をどのようにしてよいのか分からない(16%)
  10. 私の責任ではない(12%)
  11. 他の人には関係ないと思った(12%)
  12. 資金不十分(11%)
  13. その他(7%)

■ 国ごとの違い

  • ・ ドイツ:最も研究データ共有が多く(55%)、そのうち2/3はヴィジビリティー向上と透明性、利活用向上のためにする。
  • ・ 中国:最も研究データ共有が少なく(36%)、そのうち半数は、助成機関から研究データ共有が条件として課せられていないことが共有の少なさの背景であると指摘する。また研究データ共有は自分の責任ではないと思っている率が最も高い。
  • ・ 日本:「他国に先に越される」ことの恐れを、他国に比べて2倍以上、研究データ共有しない理由として挙げる。
  • ・ ブラジル:貢献を評価してもらえるのであれば共有するという回答が2/3を占める。
  • ・ イギリス:世界平均では25%が公的あるいは分野別リポジトリを通して研究データ共有しているのに対して、イギリスは14%のみ。

[the scholarly kitchen] (2014.11.11)
To Share or not to Share? That is the (Research Data) Question...


日本が他国への研究データの流出を極度に恐れる、というのは、内閣府のオープンサイエンス報告書にも現れていて、そのように思います。
これは日本が過敏なのでしょうか? それとも、他国に比べてしっかりとした研究データを生産しているからこそ、このように恐れる研究者が多いのでしょうか?

船守美穂