大学図書館とオープンサイエンス

オープンサイエンスは、大学図書館を直接のターゲットとした動きとして発展してきたわけでは、必ずしもありません。しかし、オープンサイエンスが研究論文や研究データなどの学術情報の流通や共有を通じて進展すること、そして学術情報流通の促進がまさに、大学図書館が歴史的に担ってきた使命であることから、オープンサイエンスの動きは大学図書館の活動と無関係ではありません。

電子ジャーナルの高騰に伴う、学術論文のオープンアクセス(OA)に向けての運動は、世界の大学図書館によって担われてきました。商業出版社との交渉は、各国の大学図書館コンソーシアムにより行われています。また機関リポジトリの提供により各大学における研究論文をOAとすることも、多くの大学において、大学図書館の役割として期待されています。

オープンサイエンスが新たに求める研究データ管理(RDM: Research Data Management)において、多様な分野の研究データはどのように管理していけば良いのでしょうか?どのように長期保存し、人類の叡智として後世に伝えていけるのでしょうか?どのような二次的な情報(メタデータ)を付与すれば、データは発見・利用しやすくなるのでしょうか?

研究者は、自身が取得した研究データの詳細については十分な知見を持っています。しかし、自身の研究コミュニティを超えてデータを流通させるためには、どのように管理・整備したらよいのか。この点に関しては、知識も経験も持ち合わせていません。一方、大学図書館は、学術情報資源を整理し、提供することを通じて研究を支援することがもともとの使命であり、日本の大学図書館も図書や学術雑誌の整備により、その役割を担ってきました。また古典籍や貴重書等のデジタルアーカイブの整備などに見るように、大学図書館はこれまでも広義の研究データの整備・提供に関わってきました。

オープンサイエンスを支えるRDMについては、未だ知見やノウハウが十分に蓄積されているとは言えません。こうした中で、科学技術・学術審議会の「学術情報のオープン化の推進について(審議まとめ)」も指摘するように、大学図書館がこれまで培ってきた、学術資料の組織化に関する経験や知識を、RDMにも応用していくことが求められています。

オープンサイエンスの進展に大学図書館はどのように寄与できるのか。そのための方策を考え、それを実践していくことは、まさに大学図書館の新たなチャレンジであり、同時に大学図書館の存在意義を高めるチャンスと言えるのではないでしょうか。