日本語

米国大学・図書館協会等、ネットワーク中立性を連邦通信委員会に求める

2017.03.31

3/30付けで11の大学および図書館関係の各種協会が、連邦通信委員会(Federal Communications Commission)に対して、「ブロードバンドプロバイダはインターネット上のトラフィックを平等に扱わなければいけない」という、オバマ時代に制定された規則を維持するように求めました。連邦通信委員会に新しく就任したAjit Pai会長がOpen Internet Orderと呼ばれる同規則を取り下げる可能性を示唆をしたことを受けての動きです。この規則が廃止された場合、ブロードバンドプロバイダは特定の配信者からのインターネットトラフィックを優先付けることができるようになり、"fast lane"と"slow lane"がネット上にできることになります。これは有料サービスとなる可能性が高いため、大学などの教育研究活動を阻害する危険性をこれら協会は示唆しています。

「高等教育および図書館コミュニティは、インターネットの開放性についてブロードバンドプロバイダが金銭的インセンティブを有することで、大学や図書館が提供するコンテンツやサービスが阻害されることを深く憂慮する」「パブリックなインターネット上の円滑な情報流通を維持し、万人に平等なアクセスを保証することは、米国の社会、文化、教育、経済の健全性のために決定的に重要である」と述べています。

これら協会は2014年にも、「ネットワーク中立性(net neutrality)ルール」について、団結して強い働きかけを行いました。

【声明文】

Higher Education, Library Groups Urge FCC Chair to Uphold Net Neutrality Principles

March 30, 2017 (Washington, D.C.) - Today, higher education and library organizations representing thousands of colleges, universities, and libraries nationwide sent a letter to Federal Communications Commission (FCC) Chairman Ajit Pai articulating a joint set of Net Neutrality Principles they recommend form the basis of any review of the FCC's 2015 Open Internet Order. The groups believe strong, enforceable network neutrality protections are essential to protecting freedom of speech, educational achievement, and economic growth.

American Association of Community Colleges (AACC) American Association of State Colleges and Universities (AASCU) American Council on Education (ACE) American Library Association (ALA) Association of College & Research Libraries (ACRL) Association of Public and Land-grant Universities (APLU) Association of Research Libraries (ARL) Chief Officers of State Library Agencies (COSLA) EDUCAUSE Modern Language Association (MLA) Sacramento Public Library

[Inside Higher Ed] (2017.3.31)
Higher Ed, Library Groups Advocate for Open Internet

ネットワーク中立性は2000年代から、特に米国において激しく議論され、また近年はその他の国々でも議論になりつつあります。欧州では2015年10月にネットワーク中立性に関する規則が制定されましたが、それに至るまで多くの議論があったようです。また日本においても、LINEがヘビーユーザー向けに、有料サービスを提供すると昨年3月に発表し、ネットワーク中立性に反するか否かが議論になりました。

万人が自由に平等に使えることを当然と思っていたインターネット。これがお金を払えば高速のサービスを得られるなどとなったら、ますます格差が加速しそうです。教育研究機関も一般的にはそれほどお金を持っている訳ではないので、困りますね。でも日本の教育研究機関はもしかしたらNIIの提供するSINETで守られているのでしょうか?私にはよく分からないのですが・・・。

船守美穂